前科照会事件をわかりやすく解説していきます。
ポイントは、個人情報の中でも特にセンシティブな前科等の取扱いには、慎重さが求められるという点です。
なお、犯罪の種類・軽重問わずに慎重にあるべきであること、みだりに公開されてはならないという法律上の保護に値する利益を有するもの。と判断された点は特に重要となります。
※判例において、明確にプライバシー権という言葉は使われていませんので、注意しましょう。
たとえ弁護士会からの照会であっても、照会理由が正当性を欠く場合には、安易に回答すべきではないと判断されました。
また、違法な情報公開によって損害が生じた場合、情報公開者には賠償責任が生じる可能性があることも示唆されています。
前科照会事件は、個人情報保護と公権力の行使、そしてプライバシー権と知る権利のバランスについて考えさせられる重要な判例です。
この判決を通じて、行政機関が個人情報を取り扱う際の注意点や、違法な情報公開による責任について理解を深めることができます。
- 個人情報保護:個人情報、特に前科情報は、個人の名誉や信用に関わる重要な情報であり、その取扱いには慎重さが求められます。
- 公権力の行使:行政機関は、法律に基づいて権限を行使しなければなりません。たとえ正当な目的であっても、法律の範囲を超えた権限行使は許されません。
- 相当因果関係:ある行為と損害との間に、因果関係が認められる必要があります。違法な情報公開が原因で損害が生じた場合、情報公開者には賠償責任が生じる可能性があります。
- プライバシー権と知る権利:個人のプライバシー権と、他人が情報を知る権利(知る権利)は、時に衝突することがあります。これらの権利のバランスをどのように取るかが重要です。

※落ちたのに、また受けたくなる耳心地。時間が溶ける——。
前科照会事件:弁護士会からの照会で前科がバレた!?
前科照会事件は、1973年に最高裁判所で判決が下された、プライバシー権と公権力の行使に関する重要な事件です。

事件の概要:弁護士会からの照会と前科情報の開示
この事件は、ある男性(被上告人)が、弁護士登録をしようとしたところ、弁護士会から区役所に彼の前科照会があったことから始まります。区長は、弁護士会からの照会に対して、被上告人の前科情報を回答しました。
しかし、この情報が、被上告人が役員を務める会社の幹部に伝わり、解任されてしまったのです。
被上告人は、区長が前科情報を回答したことは違法であり、プライバシー権を侵害されたと主張しました。
一方、区長は、弁護士会からの照会に応じただけであり、違法性はないと反論しました。
争点:弁護士会からの照会なら前科を開示してもいいの?
この事件の争点は、「弁護士会からの照会に基づき、区長が被上告人の前科等を報告した行為は、公権力の違法な行使にあたるか?」という点でした。
前科情報の取扱い:慎重さが求められる個人情報
前科情報は、個人の名誉や信用に直接関わる非常にセンシティブな情報です。
そのため、その取扱いには、法律に基づく厳格なルールが定められています。
弁護士会からの照会:どこまで回答していい?
弁護士会は、弁護士の適格性を審査するために、必要な情報を収集する権限があります。
しかし、それは、あくまで弁護士の適格性を判断するために必要な範囲に限られます。
最高裁判決:安易な情報開示はダメ!
最高裁判所は、この事件について、区長の行為は違法な公権力の行使にあたると判断しました。
判決理由:照会理由が不明確、漫然とした回答
最高裁は、弁護士会からの照会理由が「弁護士となる資格の有無について意見を求めるため」という抽象的なものであり、具体的にどのような情報が必要なのかが不明確であったと指摘しました。
また、区長は、照会理由を詳しく確認することなく、被上告人の前科等の全てを報告していました。
最高裁は、このような漫然とした回答は、必要かつ合理的な範囲を超えた情報開示であり、違法であると判断したのです。
相当因果関係:情報開示と解任との関係
さらに、最高裁は、区長が前科情報を回答した行為と、被上告人が会社幹部に解任されたこととの間に、相当因果関係があると認めました。
つまり、区長の違法な情報開示がなければ、被上告人は解任されなかった可能性が高いと判断されたのです。
まとめ
前科照会事件は、個人情報保護と公権力の行使について、改めて考えさせられる問題を提起しました。
この判決は、以下の重要なポイントを示しています。
- 個人情報保護の重要性:特に前科情報のようなセンシティブな情報は、慎重に取り扱う必要があります。
- 公権力の行使の限界:行政機関は、法律の範囲内で権限を行使しなければなりません。
- 違法な情報開示の責任:違法な情報開示によって損害が生じた場合、情報公開者には賠償責任が生じる可能性があります。
前科照会事件は、個人情報保護の重要性を改めて認識させてくれる判例です。
行政機関は、個人情報を取り扱う際には、常に慎重な姿勢を保ち、法令を遵守しなければなりません。
また、この判例において、原告側はプライバシー権の侵害を理由に損害賠償をしていますが、判決において、プライバシー権という言葉は使用していません。
さあ、次はあなたの番です!多くの合格者が証明する資格スクエアで、あなたの夢を現実のものにしましょう。
今すぐ無料体験に申し込んで、合格への第一歩を踏み出しましょう!

経験豊かな講師陣が、理解しやすいカリキュラムで重要な知識を丁寧に解説します。
詳細はこちらからどうぞ。