森川キャサリーン事件をわかりやすく解説していきます。
まずは、日本に在留する外国人における憲法上の権利として、外国への一時旅行や再入国の自由が保障されているものではない。ということを前提として押さえておきましょう。
- 外国人の権利と国家主権のバランス:外国人の権利は、日本国民と全く同じように保障されるわけではない。
- 在留資格と裁量権: 外国人の在留資格は、法務大臣の広範な裁量に委ねられている。
- 憲法の基本的人権の適用範囲: 憲法で保障された権利が外国人にどこまで適用されるか。

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森川キャサリーン事件は、外国人の海外渡航の自由について争われた裁判です。
最高裁は、外国人には、憲法上、外国への一時旅行の自由は保障されていないと判示しました。
この判例は、外国人の権利の制限について考える際に重要な事例となります。
日本国憲法は、日本国民の基本的人権を保障していますが、外国人の権利については、入管法などの法律によって制限されることがあります。
行政書士試験においても、外国人の権利に関する問題が出題される可能性があります。
この判例を理解しておくことは、試験対策としても役立つでしょう。
難解な判決も、具体的な事例を交えながら紐解いていきますので、どうぞご安心ください。
森川キャサリーン事件をわかりやすく | 指紋押捺拒否で海外旅行を阻まれたアメリカ人女性
森川キャサリーン事件は、1974年に起きた、アメリカ人女性、キャサリーン・森川さんが海外旅行を計画したところ、再入国許可を申請した際に指紋押捺を拒否したため、法務大臣から不許可とされた事件です。

キャサリーンさんの主張:憲法は海外旅行の自由を保障している
キャサリーンさんは、憲法22条で保障されている海外渡航の自由は外国人にも適用されると主張しました。
憲法22条は、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」と定めています。
キャサリーンさんは、この「居住、移転の自由」の中に、海外旅行の自由も含まれると解釈しました。
つまり、日本国民に限らず、日本に住む全ての人には、海外へ自由に旅行する権利があると主張したのです。
しかし、法務大臣は、外国人の出入国は国家主権に関わることであり、憲法で保障された権利ではないと反論しました。
国家主権とは、国が自国の領域内で自由に意思決定を行い、他国からの干渉を受けずに統治する権利のことです。法務大臣は、外国人の出入国を管理することは、この国家主権の重要な一部であると主張しました。
つまり、外国人が日本を出入りするかどうかは、日本の法律に従って判断されるべきであり、憲法で保障された権利ではないという立場をとったのです。
一審・二審:キャサリーンさんの請求を棄却
一審・二審ともに、キャサリーンさんの請求は棄却されました。裁判所は、外国人の出入国は国家主権に関わることであり、憲法で保障された権利ではないと判断しました。
裁判所は、法務大臣の主張を認め、外国人の出入国管理は国家主権の行使であり、憲法で保障された権利ではないと判断しました。
また、指紋押捺は、外国人の身元確認や犯罪防止のために必要な措置であり、合理的かつ正当な理由があると判断しました。
最高裁判決:外国人には海外旅行の自由は保障されない
1992年、最高裁判所は、憲法は外国人に日本国内から外国への旅行の自由を保障していないと判示しました。
過去の判例を踏襲:マクリーン事件の判断を引用
最高裁は、過去のマクリーン事件の最高裁判決を引用し、外国人の出入国は国家主権に関わることであり、憲法で保障された権利ではないと判断しました。
マクリーン事件は、1960年に起きた、アメリカ人宣教師マクリーン氏が、再入国許可申請の際に、職業欄への記載を拒否したため、法務大臣から不許可とされた事件です。
最高裁は、このマクリーン事件において、外国人の出入国は国家主権に関わることであり、憲法で保障された権利ではないと判断しました。
森川キャサリーン事件でも、最高裁はこのマクリーン事件の判例を踏襲し、同様の判断を示しました。
指紋押捺拒否は正当な理由
最高裁は、キャサリーンさんが指紋押捺を拒否したことは、正当な理由がないと判断しました。
当時、外国人登録法で指紋押捺が義務付けられており、拒否すると罰則が科せられていました。
外国人登録法は、外国人の在留状況を把握し、適正な管理を行うために制定された法律です。この法律に基づき、外国人は指紋押捺を義務付けられていました。
キャサリーンさんは、指紋押捺はプライバシーの侵害であると主張しましたが、最高裁は、指紋押捺は外国人の身元確認や犯罪防止のために必要な措置であり、合理的かつ正当な理由があると判断しました。
つまり、キャサリーンさんの指紋押捺拒否は、法律で定められた義務に違反する行為であり、正当な理由がないと判断されたのです。
事件が投げかける問題:外国人の権利と国家主権のバランス
森川キャサリーン事件は、外国人の権利と国家主権のバランスという難しい問題を提起しました。
グローバル化が進む現代において、外国人の権利をどこまで認めるべきか、そして国家主権とのバランスをどのように取るべきか、改めて考えさせられる事件と言えるでしょう。
外国人の権利拡大を求める声
近年、日本でも外国人の権利拡大を求める声が高まっています。特に、人権の観点から、外国人の基本的人権を保障すべきだという意見があります。
グローバル化が進み、多くの外国人が日本で暮らすようになった現代、外国人の権利を保障することは、多文化共生社会を実現するために不可欠です。
特に、人権はすべての人に等しく保障されるべきであり、外国人も例外ではないという考え方が広まっています。
具体的には、参政権の付与や、差別禁止の強化などを求める声があります。
国家主権の重要性
一方で、国家主権の重要性を強調する意見もあります。
特に、出入国管理は国家の安全保障に関わる問題であり、厳格な管理が必要だという考えがあります。
国家主権は、国家が自国の領域内で自由に意思決定を行い、他国からの干渉を受けずに統治する権利です。
特に出入国管理は、テロリズムや犯罪の防止、国内の治安維持など、国家の安全保障に直結する重要な問題です。
そのため、外国人の権利を拡大する際には、国家主権とのバランスを慎重に考慮する必要があります。
行政書士試験における重要性:憲法と外国人の権利に関する理解
森川キャサリーン事件は、憲法と外国人の権利に関する理解を深める上で重要な判例です。
行政書士試験においても、この事件に関する知識が問われる可能性があります。
憲法の基本原則
憲法は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という3つの基本原則に基づいています。
しかし、外国人の場合は、これらの原則が全て適用されるわけではありません。
国民主権とは、国の政治権力が国民に属することを意味します。外国人は、日本の国民ではないため、選挙権などの政治参加の権利は原則として認められていません。
基本的人権の尊重とは、すべての人間が生まれながらにして持っている権利を保障することを意味します。外国人も、人間としての尊厳を守るために必要な基本的人権は保障されていますが、国民だけが持つ権利もあります。
平和主義とは、戦争を放棄し、国際紛争を平和的に解決することを意味します。外国人も、平和な社会で暮らす権利は保障されています。
外国人の権利に関する法律
外国人の権利については、憲法だけでなく、出入国管理及び難民認定法などの法律でも規定されています。
これらの法律を理解することも、行政書士試験において重要です。
出入国管理及び難民認定法は、外国人の出入国や在留資格などを定めた法律です。
この法律は、外国人の権利を保障しつつ、国家主権とのバランスを図るために、様々な規定を設けています。
まとめ
森川キャサリーン事件は、外国人の権利と国家主権のバランスという、現代社会においても重要なテーマを提起した判例です。
アメリカ人女性、キャサリーンさんは、日本で永住許可を取得していましたが、指紋押捺を拒否したことを理由に、一時的な海外渡航後の再入国を拒否されました。
彼女は、この処分が憲法で保障された権利に反すると主張しましたが、最高裁は彼女の訴えを退けました。
この判決は、外国人には日本への入国や在留の権利、さらには一時的な海外渡航の自由も憲法上保障されていないことを明確にしました。
また、在留資格の取得・喪失は、法務大臣の広範な裁量に委ねられていることを再確認しました。
森川キャサリーン事件は、外国人の権利保障と国家主権のバランスについて、改めて考えさせられる事例です。
外国人の権利は、日本国民と全く同じように保障されるわけではなく、入管法などの法律によって制限されることがあるという点を示しています。
行政書士試験においても、外国人の権利に関する問題が出題される可能性がありますので、この判例を理解しておくことは、試験対策としても役立つでしょう。
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