三菱樹脂事件をわかりやすく解説していきます。
三菱樹脂事件のポイントは、企業の雇用自由の原則と、労働者の思想・信条の自由の保障とのバランスが問題となった点です。
企業は、採用段階である程度の自由を認められる一方、採用後は労働者の権利を保護するために、解雇には客観的に合理的な理由が必要となります。
※試用期間中の本採用拒否も、解雇と同様に判断される点も重要です。
また、この判例では人権について、私人相互間における憲法の適用は私的自治の原則に反するということから、民法などの私法を通して間接に適用されるとしています。(間接適用説)
この点も重要ポイントとなっていきますので、押さえておきましょう。
- 憲法19条、14条と私人間効力:憲法19条(思想・良心の自由)や14条(法の下の平等)は、直接的には国家と個人の関係を規律するが、企業と労働者の関係のように、一方に優越的地位がある場合は、これらの条文の趣旨を考慮する必要がある。
- 企業の雇用自由と制限:企業は、採用段階においては、誰をどのような条件で雇うかについて、原則として自由に決定できるが、採用後は、労働者の既得権を保護するため、解雇には客観的に合理的な理由が必要となる。※試用期間中の本採用拒否も、解雇と同様に判断。

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三菱樹脂事件:学生運動の過去が採用に影響する?
三菱樹脂事件は、1974年に最高裁判所で判決が下された、企業の採用活動における思想・信条の自由に関する重要な事件です。
企業が採用試験の際に、応募者の思想・信条に関わる事項(学生運動への参加経験など)について申告を求め、それを基に採用を拒否することは許されるか?

事件の概要:試用期間中の不採用通知
この事件は、大学卒業後に三菱樹脂株式会社に試用期間付きで採用されたXさんが、試用期間満了直前に本採用を拒否されたことから始まります。その理由は、Xさんが学生時代に学生運動に参加していた事実を、採用試験の際に申告しなかったことでした。
Xさんの主張:思想・信条による差別だ!
Xさんは、会社が学生運動への参加を理由に採用を拒否したのは、憲法19条(思想・良心の自由)と14条(法の下の平等)に違反する不当な差別だと主張しました。憲法は、個人がどのような思想や信条を持つのか、それを表明するのかについて、国家から干渉されない自由を保障しています。Xさんは、企業もまた、個人の思想・信条を理由に不利益な扱いをしてはならないと訴えたのです。
会社側の主張:雇用する自由がある!
一方、会社側は、採用は企業の自由であり、誰を採用するかは企業が決めることだと主張しました。憲法は、企業の経済活動の自由も保障しており、採用においても、企業はその自由を行使できると反論したのです。
最高裁判決:企業の自由と個人の権利のバランス
最高裁判所は、この事件について、企業の採用における自由と、個人の思想・信条の自由とのバランスを考慮した上で、以下の判決を下しました。
- 企業の採用における自由:企業は、経済活動の一環として、誰をどのような条件で雇用するかを決定する自由を有しています。したがって、企業が特定の思想・信条を有する者を雇うことを拒否しても、それを当然に違法とすることはできません。
- 思想・信条による不当な差別禁止:ただし、企業が思想・信条を理由に採用を拒否する場合には、客観的に合理的な理由が必要となります。つまり、その思想・信条が、企業の業務遂行に支障をきたす可能性があるなど、正当な理由がなければなりません。
- 試用期間中の本採用拒否:試用期間中の本採用拒否は、解雇と同様に判断されます。したがって、企業は、試用期間中に本採用を拒否する場合にも、客観的に合理的な理由を示す必要があります。
この判決は、企業の採用における自由を認めつつも、個人の思想・信条の自由を不当に侵害してはならないという、重要な原則を示したものです。
三菱樹脂事件が問いかけるもの:企業の責任と個人の尊厳
三菱樹脂事件は、企業の採用活動における思想・信条の自由について、私たちに多くの問いを投げかけました。
企業は、経済活動の自由を享受する一方で、個人の尊厳を尊重し、不当な差別を行わない責任があります。
現代社会における課題:多様性と包容性
現代社会は、多様な価値観やライフスタイルが存在します。
企業は、このような多様性を尊重し、包容性のある職場環境を構築していく必要があります。
個人の思想が直ちに違法になることがないように、判例によると、民法上の不法行為も直ちに不法行為であるとすることはできません。
憲法の精神:個人の尊重と自由
憲法は、個人の尊重と自由を基本理念としています。
企業活動においても、この憲法の精神を忘れてはなりません。
ただし、この判例で憲法の保障規定については、私人相互間の関係性を直接規律するものではないとして、憲法を類似事項として認めるべきではないとしています。
まとめ
三菱樹脂事件は、企業の採用における自由と、個人の思想・信条の自由とのバランスを問う重要な判例です。
この判決は、企業が採用において、思想・信条を理由に不当な差別をしてはならないことを明確に示しました。
企業は、経済活動の自由を享受する一方で、個人の尊厳を尊重し、多様性と包容性のある社会の実現に貢献していく必要があります。
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