今回は、民法の総則の範囲から、「意思能力」「行為能力」をわかりやすく解説していきます。
キチンと整理して、しっかり理解して得点源にしちゃいましょう!
- 意思能力とは、自分の行為の結果を理解し、判断する能力のこと。
- 行為能力とは、単独で法律行為を行い、権利や義務を発生させることができる能力のこと。
- 意思能力がない人が行った法律行為は無効または取り消し可能。
- 制限行為能力者とは、単独では有効な法律行為を行うことができない人のこと。
- 制限行為能力者には、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人が含まれる。
意思能力と行為能力は、法律行為の有効性を判断する上で非常に重要な概念です。
行政書士試験では、民法は事例問題で出題されることが多いので、様々な事例に触れて、実践的な理解を深めていきましょう。

※落ちたのに、また受けたくなる耳心地。時間が溶ける——。
「意思能力」と「行為能力」をわかりやすく
行政書士試験における「意思能力」と「行為能力」
行政書士試験では、民法が重要な科目の一つです。
そして、この民法の基礎となるのが「意思能力」と「行為能力」です。
なぜ重要かというと、法律行為を理解する上で欠かせない概念だからです。
例えば、不動産の売買契約や遺言の作成、会社の設立など、私たちが日常生活で行う様々な行為が法律行為に該当します。
これらの法律行為が有効に成立するためには、「意思能力」や「行為能力」が必要になってきます。
試験では、事例問題で出題されることが多いので、しっかりと理解しておくことが重要です。
「意思能力」ってどんな能力?~あなたの意思は、法的に認められる?~
意思能力の定義:法律行為の「?」を理解しよう!
「意思能力」って聞くと、ちょっと難しそうなイメージがありますよね?
簡単に言うと、「自分の行為がどんな結果になるのか理解し、判断する能力」のことなんです。

例えば、コンビニでペットボトルのお茶を買うとき、「お金を払えば、このお茶がもらえる」と理解していますよね?
これが意思能力です。
「意思能力」がないってどういうこと?
では、「意思能力がない」ってどういう状態でしょうか?
例えば、幼児や重度の認知症の方は、自分の行為の結果を理解することが難しい場合があります。
このような場合、法律行為を有効に行うことができないとされています。
これをやったら何が起こるか。といった判断ができない状況、精神状態を表します。
この意思能力のない人を「意思無能力者」といいます。
行政書士試験の民法では、この意思無能力者に該当するか。という部分もポイントで、「泥酔者」は意思無能力者に該当します。
具体的な例でチェック!
3歳の子供が、おもちゃ屋さんで勝手に人形を持ってレジに並んでしまった。
認知症のお年寄りが、高額な健康食品の勧誘に騙されて契約をしてしまった。
意思能力がない場合、どうなるの?~法律行為の有効性~
意思能力のない人が行った契約は、無効となります。
「無効」とは、最初から法律行為がなかったものとして扱われることです。
「行為能力」ってどんな能力?~法律の世界で「大人」になれる?~
行為能力の定義:単独で法律行為ができるってどういうこと?
「行為能力」とは、単独で法律行為を行い、権利や義務を発生させることができる能力のことを言います。
簡単に言うと、「法律の世界で大人として認められる能力」ですね。

行為能力には、「行為能力者」と「制限行為能力者」の2種類があります。
行為能力者って誰のこと?
「行為能力者」とは、単独で法律行為を行うことができる人のことです。
具体的には、成年者(18歳以上の人)が該当します。
※これまでは、20歳以上でしたが、平成30年の民法改正で18歳となりました。(令和4年1月1日施行)
成年者は、自分の意思で自由に契約を結んだり、財産を処分したりすることができます。
制限行為能力者って誰のこと?
「制限行為能力者」とは、単独では有効な法律行為を行うことができない人のことです。
「未成年者」だけではなく、「成年被後見人」、「被保佐人」、「被補助人」も含まれます。
制限行為能力者ってどんな人?~「未成年者」だけじゃない!~
制限行為能力者は、法律行為を行うに不十分と判断されるため、下記のような権限を保護者に与えられます。
- 同意権:制限行為能力者が法行為ができるように同意する。
- 代理権:制限行為能力者の代打。代わりに法行為をする。
- 取消権:制限行為能力者が同意なしで行った行為を取り消す。
- 追認権:同意なしで行った行為を後から有効であると認めること。
未成年者は未成年である間は、すべて保護者に権限として与えられます。
成年被後見人の保護者には、同意権はありません。(詳細は後述のポイント)
被保佐人と被補助人は、当然に与えられるものではないので、棲み分けをしておきましょう。
保佐人は、代理権、補助人はすべての権利がオプションとなっています。
あと、意外と事理を弁識する能力がどうなると被保佐人なのか。といったポイントが微妙に覚えづらいので意識してみると良いでしょう。
※著しく不十分と言われると、一見、成年被後見人に見えますが、被後見人です。
- 成年被後見人:事理を弁識する能力を欠く情況(欠く)
- 被保佐人:事理を弁識する能力を著しく不十分(十分でない(欠くわけではない))
- 被補助人:事理を弁識する能力が不十分
未成年者
未成年者は、18歳未満の人を指します。
未成年者が単独で法律行為を行う場合は、法定代理人(親権者など)の同意が必要となります。
成年被後見人
成年被後見人とは、精神上の障害により「事理を弁識する能力を欠く情況」を指します。
家庭裁判所によって後見開始の審判を受けた人が該当します。
成年被後見人は、法定代理人(成年後見人)の同意がなければ、有効な法律行為を行うことができません。
日用品の購入、日常生活に関する行為を除いて取消ができるようになります。
成年後見人の同意を得てした行為も取り消しうる
同意権がないとされている理由です。
被保佐人
被保佐人とは、精神上の障害により「事理を弁識する能力が著しく不十分な人」を指します。
成年被後見人と同様に、家庭裁判所によって保佐開始の審判を受けた人が該当します。
被保佐人は、法定代理人(保佐人)の同意が必要な法律行為と、単独で行うことができる法律行為があります。
保佐人の同意が必要となる行為は、13条2項に記載があるので、確認してみましょう。
保佐人が得をするような土地の譲渡といった場合、同意は不要
保佐人への代理権の設定は、オプションのため、必要に応じて代理権を付与するための審判をすることができます。(876条の4 – 1項)
ただし、本人からもしくは、本人の同意がなければ審判することができません。
- 保佐開始の審判:本人の同意は不要
- 保佐人への代理権の付与:本人の同意が必要
被補助人
被補助人とは、精神上の障害、または心身の障害により「事理を弁識する能力が不十分な人」を指します。
家庭裁判所によって補助開始の審判を受けた人が該当します。
被補助人は、法定代理人(補助人)の補助を受けて法律行為を行います。
補助開始の審判は少し特殊で、保護者の権限が基本的にオプション制となっています。
補助開始の審判の際に「補助人の同意を要する旨(17条)」「補助人に代理権を付与する旨(876の9)」のいずれか、又は双方をしなければなりません。(15条3項)
同意権については、保佐人で定められている10個のうち、一部が対象となります。
制限行為能力者の法律行為はどうなるの?~有効?無効?取り消し?~
制限行為能力者(未成年者、成年被後見人など)が行った法律行為は、どうなるのでしょうか?
基本的には、「取り消し可能」です。
ただし、制限行為能力者が法定代理人の同意を得て行った法律行為は、有効です。
また、制限行為能力者が詐術(さじゅつ)を使って成年者であると偽って行った法律行為も、有効となる場合があります。
※年齢を偽ることです。
法定代理人って何者?
法定代理人とは、法律に基づいて制限行為能力者を代理する人のことです。
未成年者の場合は親権者、成年被後見人の場合は成年後見人が、法定代理人となります。
法定代理人は、制限行為能力者に代わって法律行為を行ったり、制限行為能力者
が行った法律行為を取り消したりすることができます。
取消権を持つのは誰?
制限行為能力者本人、またはその法定代理人が取消権を持ちます。
ただし、相手方は取消権を持ちません。
意思能力と行為能力の違いをマスターしよう!
3つの能力を整理!~権利能力も合わせてチェック!~
「意思能力」と「行為能力」の違い、なんとなく理解できましたか?
ここで、もう一つ重要な能力である「権利能力」についても説明します。
「権利能力」とは、権利や義務の主体となることができる能力のことです。
すべての人は、生まれたときから権利能力を持ちます。
「意思能力」と「行為能力」は、この権利能力を具体的に行使するための能力と言えます。
| 能力 | 説明 |
|---|---|
| 権利能力 | 権利や義務の主体となることができる能力。すべての人が生まれたときから持っている。 |
| 意思能力 | 自分の行為の結果を理解し、判断する能力。 |
| 行為能力 | 単独で法律行為を行い、権利や義務を発生させることができる能力。 |
事例で確認!~あなたはどの能力を持っている?~
具体的な事例で考えてみましょう。
小学生のAくんの場合
Aくんは、権利能力と意思能力はありますが、行為能力はありません。
Aくんがゲームソフトを買いたい場合は、親の同意が必要になります。
高校生のBさんの場合
Bさんも、権利能力と意思能力はありますが、行為能力は制限されています。
Bさんがアルバイトをして稼いだお金で、高額なギターを買いたい場合は、親の同意が必要になります。
大学生のCさんの場合
Cさんは、権利能力、意思能力、行為能力のすべてを持っています。
Cさんは、自分の意思で自由に契約を結んだり、財産を処分したりすることができます。
認知症のDさんの場合
Dさんは、権利能力と行為能力はありますが、意思能力が制限されている可能性があります。
Dさんが不動産を売却する場合は、成年後見人などの同意が必要になる場合があります。
相手方を守る!制限行為能力者の行為に対する催告権
制限行為能力者と取引した相手方も、法律で守られているって知っていましたか?
そのための制度が催告権です。
例えば、あなたが未成年者と契約を結んだとします。
後からその未成年者の親が出てきて、「うちの子供はまだ未成年だから、この契約は取り消します!」なんて言われたら困りますよね?
そんな時、あなたには催告権という権利があります。
催告権とは、制限行為能力者の相手方が、本人や法定代理人に対して、制限行為能力者の行為について、承認するか取り消すかを請求することができる権利です。
※1ヶ月以上の期間を定めて催告することができる。(民法20条1項)
つまり、「契約を有効にするのか、無効にするのか、ハッキリしてください!」と迫ることができます。
催告を受けたらどうするの?
保護者(法定代理人等)は、催告を受けた日から期間内に、承認または取消しの意思表示をしなければなりません。
催告をしなかった場合はどうなるの?
相手方が催告をしなかった場合、法定代理人は、いつでも自由に制限行為能力者の行為を承認または取り消すことができます。
つまり、いつまでも契約が不安定な状態になってしまいます。
催告権は、制限行為能力者の相手方を保護するための重要な制度です。
制限行為能力者と取引する際は、催告権についてもきちんと理解しておきましょう。
もし、法定代理人や後見人が期間内に意思表示をしなかった場合は、承認(追認)したものとみなされます。
また、本人に対して催告するケースも考えられます
基本的には「取消し」となるため、ポイントとして押さえておきましょう。
しかし、必ずしも返事(確答)するとは限られません。
いわゆる無視をしたらどうなるか。という部分は本人と保護者で変わってくるので注意が必要です。
単独で追認することができる者:法定代理人、後見人、保佐人、補助人
※補助人は、同意権の審判を受けた前提
当然ですが、行為能力者に対しては、民法も強気です。
制限行為能力者:未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人
未成年者、成年被後見人は、意思表示の受領能力がないため、催告で対抗できない(98条の2)
普通に考えたら当たり前ですよね。
サラッと催告しました。で済まされても保護者からしたら本当に困りますよね。
まとめ
今回は、「意思能力」と「行為能力」について解説しました。
少し難しい内容だったかもしれませんが、理解できましたか?
これらの概念は、法律行為の有効性を判断する上で非常に重要です。
行政書士試験では、事例問題で出題されることが多いので、様々な事例に触れて、実践的な理解を深めていきましょう。
今回の記事が、皆さんの行政書士試験合格の力になれば幸いです。
さあ、次はあなたの番です!多くの合格者が証明する資格スクエアで、あなたの夢を現実のものにしましょう。
今すぐ無料体験に申し込んで、合格への第一歩を踏み出しましょう!

経験豊かな講師陣が、理解しやすいカリキュラムで重要な知識を丁寧に解説します。
詳細はこちらからどうぞ。