行政手続法9条2項とは、申請者に対して申請書に関する情報を提供するように努めるよう、義務付けしています。
なお、1項は審査の見通しを示すよう努めることを規定しており、行政手続法 第9条では【情報の提供】という名目でこれらを定義しています。
この情報提供は、申請者が行政手続きの進行状況や処分時期を把握することを可能にするものですが、努めるにとどめていることから、努力義務であることがわかります。
- 申請者の要求に応じて審査の進行状況や処分時期の見通しを提供することが求められる。(1項)
- 申請者が情報提供を求める場合、行政機関は申請に必要な情報を提供する義務がある。(2項)
- 情報提供の努力義務は、公平な手続きを確保するために重要な役割を果たす。
必要な情報や期間を知っている人、自分でたどり着いた人に提供をするほど無駄なことはないですよね。
行政手続法 9条 申請に対する審査、応答は、第2章の「申請に対する処分」に該当し、それぞれの条文で定義している「義務」がポイントとなります。
申請の意味、行政手続法の「申請に対する処分」における9条の位置づけ(努力義務)については下記のまとめ記事よりご覧ください。
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行政手続法9条2項とは?1項と合わせて【情報の提供】を解説!!
まずは、行政手続法9条を2項に渡って定義している条文から見ていきましょう。
行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない。
2 行政庁は、申請をしようとする者又は申請者の求めに応じ、申請書の記載及び添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供に努めなければならない。
求めに応じるという形である、受動的な規定で積極的なものではないことも念頭に置いておきましょう。
この9条が示す情報の提供は、行政手続きの公平性を確保する上で欠かせない規定です。
申請者が手続きの進行状況や処分時期を把握し、自身の権利や利益を守るためには正確な情報が必要であることは言うまでもありません。
したがって、情報の提供を求めることは申請者にとって当然の権利とも言えます。
行政手続法9条1項とは?処分の見通しに関する規定
行政機関は、申請者の要求に応じて、審査の進行状況と処分時期の見通しを示すよう努めなければならず、処分の見通しも分からずに待つことにならないようにすることを義務付けています。
行政手続法のQ&Aにも処分の時期の見通しについては記載があり、申請者サイドに積極的に聞くように推奨しています。
これにより、申請者は自身の申請に対する行政機関の対応を把握しやすくなるため、公正の確保という目的を達成することに繋がります。
見通しの確認は申請者サイドから積極的に行う(行政手続法Q&A推奨)
行政手続法9条2項とは?必要な情報の提供に関する規定
さらに行政機関は、申請をしようとする者や申請者が求める場合には、申請書の記載や添付書類に関する情報の提供にも努めなければなりません。
申請を行うサイドからしたら当然の権利のように思えますが、郵送されてくる問診票等の書き方が分からない、明らかに適合していないといったことに遭遇したことはありませんか?
汎用的だったり、インターネットで情報を確認できるようなものなら良いですが、独自性が高いとそうはいきません。
公的な申請書も小難しいものが多い印象がありますが、その辺りのケアは手厚いですよね。
9条の情報提供も同じようなイメージで、必要な情報は提供するように義務付けられています。
※ただし、努めるようにする。の努力義務となります。
また、申請は受理しない(門前払い)ことは行政手続法 「第7条の申請に対する審査、応答」によって、禁止されるため、間違いだらけの申請書を受理するリスクの低減にも、この9条2項の規定の効力が及んでいると言うことができます。
まとめ
行政手続法9条は行政機関が申請者に対して行う情報の提供について規定しています。
情報を求めることは、申請者にとって当然の権利ではありますが、努力義務であることは押さえておきましょう。
また、情報提供をする側の行政機関からすると、求めがあったときにすることとされているため、手続き義務上は求めがなければ提供しなくても良いと解釈することができます。
逆に何も言わず、情報提供をしてくれなかったことで不服申し立て等をすることはできません。
必要な情報は欲しいと求めていくことは現代社会でも必要なことだと、この行政手続法9条2項を通して改めて感じました。