申請に対する処分

行政手続法第8条 解説!!【理由の提示】拒否する根拠が必要な理由とは?

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公正な行政手続きを行うための重要な規定である、行政手続法第8条を解説していきます
行政手続法第8条の理由提示は、申請者に対して処分の理由を明確に説明することが求められる法的義務として定義されています。
しかし、明らかな不備ある場合は、不備を適切な理由として提示することも可能です。

ぱぱお
ぱぱお
申請書に明らかな不備があるのに拒否できないのはおかしいですよね。

この理由の提示は、行政手続きの透明性と公正性を確保するために重要な規定となります。

成り上がリーガルポイント
  • 申請者に対し、同時に、処分の理由を示す法的義務
  • 提示された理由は、事後的な申し立てを争う際の根拠となる役割を果たす。
  • 単純な拒否の根拠規定だけでは不十分とされ、拒否の理由を明確に説明する責任がある。
    ※ただし、申請書に明らかな不備がある場合は、申請者からの求めがあれば根拠規定だけで足りる。

この行政手続法第8条は私たち国民によってされた申請を拒否する際の方法を示す重要な役割も担っています。

行政手続法第8条 理由の提示は、第2章の「申請に対する処分」に該当し、それぞれの条文で定義している「義務」がポイントとなります。
申請の意味、行政手続法の「申請に対する処分」における8条の位置づけ(法的義務)については下記のまとめ記事よりご覧ください。

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行政手続法第8条 解説!!拒否する根拠が必要なワケ

行政手続法第8条は、2項に渡り、行政機関が申請により求められた許認可等を拒否する場合の規定を設けています。
では条文を見ていきましょう。

理由の提示〔第8条〕

行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。
2 前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。

申請者に対して同時に、拒否する理由を示さなければならない。としているため、法的義務となります。
「申請者に同時に理由を示す」というところはポイントとなりますので、押さえておきましょう。

対象が「名あて人」になるのは不利益処分です。

この行政手続法は、事前チェックのための法律であるため、提示された理由は事後的な申し立てを争う場合の根拠となり得る存在とも言えます。
そのため、行政機関は、その処分の理由を申請者に説明することで、行政手続きの透明性と公正性を確保する責任を果たすことができます。

単純に理由を知りたいという、知るための権利だけではなく、事後で争う権利も保障している形となります。
※読めば読むほど、考えが行き届いていることがわかるので読み込んでみるのも面白いです。

条文によると、書面である場合は書面で示す規定もあるため、口頭で示せば足りる訳ではないことも合わせて押さえておきましょう。

【判例と合わせて】行政手続法第8条の理由提示を理解する

申請拒否の根拠が提示されることで、事後的な申し立てや不服申し立てに対する根拠にもなります。

パスポート発行の拒否通知に関する判例では、単なる拒否の根拠規定だけでは不十分とされており、申請者が理由を見て納得するものでなければならないとして、理由提示が重要視されています。

ただし、申請書の内容や審査基準によって明らかな不備がある場合は、根拠規定だけで足りるとされています。

申請者が理由を知ることで、不服申し立ての根拠を持つことができ、法の下での公正な判断へと繋がります。
※理由を提示することは不要な争いを避ける目的とも言うことができます。

まとめ

行政手続法第8条は、行政機関が申請に対する拒否処分を行う場合に、申請者に対して、同時に許認可等を拒否する理由を提示することを義務付けています。(法的義務)
この規定は、行政手続法の目的である行政手続きの公正性と透明性を確保し、申請者の権利を保護するために重要な役割を果たしています。

理由の提示が必要となる場面や、その対象、判例も念頭に置いて理解していくと、法的義務であるこの第8条および2章の申請に対する処分の知識を定着することができます。