申請に対する処分

行政手続法 7条 解説【申請に対する審査、応答】申請の処分に関わる重要な規定!!他法と比較して知識を定着!!

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

行政機関が申請に対して行う行為についての規定である、行政手続法 7条 申請に対する審査、応答を解説していきます。
行政機関が実際に行う処分に関する規定となるため、細かい部分が重要となってきます。
また、行政不服審査法と内容が異なる部分もあるため、それらも合わせてポイントを押さえておきましょう。
※ここでは、行政手続法 7条の内容をメインに詳しく解説していきます。

成り上がリーガルポイント
  • 審査の開始に関して、申請が到達した時点から遅延なく審査を開始し、受け取り拒否や放置は禁止
  • 応答には、申請書の不備がある場合には補正を求めるか、許認可等を拒否することがあるが、適切な理由も必要
  • 行政不服審査法では、申請を拒否する際には補正を求めることが必要

行政手続法 7条 申請に対する審査、応答は、第2章の「申請に対する処分」に該当し、それぞれの条文で定義している「義務」がポイントとなります。
申請の意味、行政手続法の「申請に対する処分」における7条の位置づけ(法的義務)については下記のまとめ記事よりご覧ください。

行政手続法 第2章 申請に対する処分とは?【分かりやすく】ポイントを解説行政手続法における「申請に対する処分」とは、行政手続きにおいて重要な概念の一つです。 この記事では、行政書士試験のポイントも押さえつつ...

行政書士試験の準備にお悩みの方へ。複雑な試験範囲や不安を解消し、自信を持って合格を目指すなら、資格スクエアの行政書士講座がおすすめです。
柔軟な学習スケジュールや24時間対応のサポート体制が整っており、スマホやPCから気軽に学習できます。
経験豊かな講師陣が、理解しやすいカリキュラムで重要な知識を丁寧に解説します。
詳細はこちらからどうぞ。

資格スクエアの行政書士講座: あなたのキャリアアップをオンラインで実現する行政書士は、企業や個人が直面する複雑な行政手続きを専門とする法律の専門家です。 許認可申請、不動産登記、遺言書の作成など、広範な業務を...

行政手続法 7条 申請に対する審査、応答について徹底解説!!

まずは、申請に対する審査、応答の規定について、条文から見ていきましょう。

申請に対する審査、応答〔第7条〕

行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

申請が行政機関に到達した場合は遅延なく審査を開始し、申請書の受け取り拒否や放置は禁止されています。
審査に対する応答では、申請書に不備がある場合には補正を求めるか、許認可等を拒否することとありますが、実際は、適切な理由を示す必要があります。
※行政不服審査法では、申請を拒否する際には補正を求めず却下することはできません。

また、不作為(処分をする/しないをしていない)に対する「審査請求」(行政不服審査法)をすることもできます。

ここからは、申請に対する審査と応答で分けて解説していきます。

申請に対する審査について

申請が行政機関に到達した場合、行政機関は遅滞なく申請書の審査を開始するように規定しています。
これを定めることで、申請自体そのものの権利を認めることにも繋がります。

審査に関する規定がない場合、行政機関は自由審査をすることができるため、放置することも可能となってしまいます。
そこで、遅延なく開始することを法的義務と規定することで、事前の抑止力として効力を発揮してくれます。

受け取るを拒否することもできないため、申請が門前払いになることを防ぐための重要な措置と覚えておきましょう。

受け取り拒否はもちろんですが、審査が始まらないのは申請する側にとっても不安ですし、行政手続法の目的にそぐわないとも言えます。
例えば、私たちの身近なところで言うと、ローンの審査など、この手の審査には時間がかかりますが、銀行の不手際で審査が始まらないとしたら、いかがでしょうか?
こういったことを防ぐために予め規定しているのが審査についての条文です。

申請に対する応答について

申請書の記載事項や添付書類に不備がある場合の対処として、行政機関は申請者に対し、一定期間内に補正を求めることが義務付けられています。
ただし申請が法令に適合しない場合や不適切な場合、行政機関は許認可等を拒否することもできますし、双方から対応を判断するように法的義務として定められています。

この際、申請者に対して適切な理由を提示することも重要なポイントとなります。
実際にパスポートの申請といった対応で、拒否の根拠規定だけでは不十分とされた判例もあります。

拒否することもできますが、拒否するためにはそれなりの理由付けが必要という風にとらえることもできます。
適切な理由を知りたいという思いもありますが、この後の不服申し立て等の事後の争いでの根拠規定にもなり得ることから、適正な理由が必要とされています。

また、補正を求める行為については、冒頭でも出てきましたが、行政不服審査法と対応が異なるため、セットで覚えておきましょう。
行政手続法は事前のチェックであるため、拒否することも認められますが、事後で争う行政不服審査法は、補正を求めず却下してしまうと、救済の機会が失われることになるため、その意に反することとなります。

  • 行政手続法:補正を求めず、拒否可能 ※事前チェック目的
  • 行政不服審査法:補正を求めなければならない ※救済目的

まとめ

行政手続法7条には、申請に対する審査とその応答に関する重要な規定が含まれています。
申請が到達した際には、迅速かつ適切に審査を行い、不備がある場合には申請者に対して補正を求めることをすべきことして、法的義務としています。

応答という観点では、申請に不適切が認められる場合、許認可等を拒否することができる点も覚えておきましょう。

また、申請が法令に適合しない場合には、許認可等を拒否することも許されますが、その際には適切な理由を示す必要があります。