申請に対する処分

行政手続法第5条 審査基準とは?行政手続きの基盤となる存在【義務】に注目して知識を定着!!

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行政手続法第5条は、審査基準に関する規定を定めています。
審査基準は行政庁が許認可等の処分をするかどうかを判断するために必要な基準であり、その明確な定めと公開は行政手続法の目的である、透明性と公正性の確保に欠かせない存在となります。

成り上がリーガルポイント
  • 透明性と信頼性を確保し、社会全体の安定に寄与する。
  • 公正な行政手続を保障し、申請者の権利保護に貢献する。
  • 審査基準の定めと公にすることは法的義務である。

このように、行政手続法第5条に基づき、審査基準を適切に定める運用を求められます。
審査基準の明確な定めと公開は、公正な行政手続の確保や社会全体の安定に不可欠であることは、条文を読まなくても分かるかもしれませんが、条文として掲げることで、法的な効力を発揮してくれます。

審査基準だけでなく、一見当たり前のような内容も行政手続法として定めることで、事前チェックとしての抑止力となってくれます。

行政手続法第5条の審査基準は、第2章の「申請に対する処分」に該当し、それぞれの条文で定義している「義務」がポイントとなります。
申請の意味、行政手続法の「申請に対する処分」における5条の位置づけ(法的義務)については下記のまとめ記事よりご覧ください。

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行政手続第5条【審査基準】の役割と重要性

この条文が法的義務とされているように、行政手続における公正性を保障していることがわかります。
行政手続における審査基準は、行政機関が行う処分が公正かつ適正であることを保証する役割を果たします。
これにより、行政活動が一定の基準に従って行われることが期待されます。
審査基準が明確に定められていることで、申請者は自らの権利や利益が適切に考慮されることも期待できます。

審査基準に基づいて行われる審査は、申請者にとって透明性のあるプロセスであることがわかります。
また、審査基準の設定および公にすることは法的義務であることも合わせて押さえておきたいポイントとなります。
なお、第6条の「標準処理期間」については、定めることは努力義務となるため、行政手続法 第5条の審査基準との差となりますので、理解しておきましょう。

行政手続法第5条の審査基準を詳しく!!

まずは、条文を見ていきましょう。

審査基準〔第5条〕

行政庁は、審査基準を定めるものとする。
2 行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
3 行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。

申請に対する審査の基準ですから、より細かく定義されていることがわかります。
これを踏まえて、各項に焦点を当てていきましょう。

第5条1項:審査基準の定め

行政手続法第5条1項は、行政機関が審査基準を定めることを法的義務(~しなければならない)として規定しています。

第5条2項:審査基準の内容

第5条2項では、審査基準の内容について規定しています。
行政機関は、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的な審査基準を定めることが求められます。

これは、行政機関の透明性と公正性を確保するという、行政手続法の目的に沿った規定と言うこともできます。
また、審査基準の変更を不可とする記述はないため、変更自体は可能なモノとなります。

公正の確保と透明性、国民の権利利益の保護といったキーワードは行政手続法における重要なポイント

行政手続法の不利益処分の処分基準は公にするように努めるという努力義務となっておりますので、比較してみるとより理解が深まると思います。

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第5条3項:審査基準の公開

審査基準を定めることと同様に公にすることも法的義務として規定しています。
なお、公にしなければならない。という表現であるため、スピーカーの如く積極的にお知らせすることまでは規定していません。

これが努力義務で公にされない場合、正しい審査がされているかを判断することができませんね。
以上3項を踏まえて、審査基準が法的義務であることを押さえておきましょう。

行政手続法 5条 審査基準は行政手続きの基盤となる存在

審査基準の明確な定めと公開は、公正な行政手続を確保するために欠かせませんし、審査基準に基づいて行政機関が適正な判断を行うことを定義している基盤のような存在です。

行政機関が審査基準を適切に遵守することで、透明性と信頼性を確保することができるといえます。

行政手続法において、審査基準の設定と公開は法的義務です。
しかし、その設定だけでは十分ではありません。

審査基準が設定されたとしても、それが公開されなければ、その遵守が確認されません。
人々がその基準を知ることができなければ、行政機関が基準に従って行動しているかどうかを確かめる手段がありません。
そのため、審査基準の設定と同様に、その公開も法的義務として位置づけられています。

逆に審査基準がない場合は、行政庁の好きに処分をすることができます。
それは許されないとしても、法律というモノはそういった、曖昧な部分は定義されていない以上、認められている権利といった見られ方をされます。

まとめ

行政手続法第5条には、行政機関に対する審査基準の明確な定めと公開が義務付けられています。
これは、公正な行政手続の確保と透明性の実現を目指すものであり、申請者や関係者の権利保護にも繋がりますし、何より行政手続法の目的に沿った規定ともいえます。

行政機関は、法的義務と努力義務を適切に遵守し、審査基準の適切な運用に努めることが求められていることが条文から読み取ることができます。

行政手続法として、全てが法的義務ではない。というところも合わせて覚えていくと、より知識は定着していきますので、その他条文の解説も合わせてチェックしてみてください。