不利益処分を行う場合の規定として、理由の提示が法的義務とされています。
この不利益に対する処分の理由の提示は、名あて人の権利を守り、処分の公正性を確保するために重要とも言えます。。
理由を明確に示すことで、名あて人が処分内容を理解や、事後の適切な対応へとつながります。
- 不利益処分をする場合にはその理由を明確に示す必要がある。
- 理由を明確に示すことで、内容の理解、事後の根拠となります。
- 名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示す(基本)
- やむを得ない場合は、事後の相当の期間内に理由を示す(例外)
14条の理由の提示は、行政手続法、第3章の「不利益処分」に該当し、不利益処分とは、行政庁が法令に基づき、特定の者に対して直接的に義務を課したり、その権利を制限する処分のことを指します。
処分、不利益処分の意味、行政手続法の「不利益処分」における理由の提示(14条)の位置づけについては下記のまとめ記事よりご覧ください。
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行政手続法 不利益処分の理由の提示とは何か
理由の提示の条文から見ていきましょう。
第十四条 行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
2 行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。
3 不利益処分を書面でするときは、前二項の理由は、書面により示さなければならない。
行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならないとされています。
ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、同時に示さなくて良いとしています。
例えば、国民の生命に関わる事態など、処分が優先される場合などが考えられます。
ただし、名あて人の所在が判明しなくなったときや、その他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならないとされています。
示さなくても良いパターンがあると言うことを押さえておきましょう。
不利益処分が書面の場合は書面により示さなければならないという規定があることも押さえておきましょう。
申請に対する処分の理由の提示(8条)と比較してみるのも理解が深まるのでおすすめです。
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理由の提示は、行政庁が行う不利益処分に対する法的義務でありますが、処分が公正であることを保証するための重要な手段であり、その名あて人が行政庁の判断を理解し、必要に応じて異議を申し立てることができるようにするためのものとも考えることができます。
また、書面でするときは書面でしなければならないという一文も、そういった規定があるというところは、重要なポイントとなるため、押さえておきましょう。
※これは8条も同じとなります。
理由の提示の例外となるパターン
理由の提示は原則として必要ですが、例外も存在します。
具体的には、理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合や、処分後において理由を示すことが困難な事情がある場合などです。
これらの例外は、すぐに対処が必要がある場合や、その名あて人の所在が不明である場合など、特殊な状況を考慮したものです。
申請の場合は、申請書が審査の起因となるため、このようなことが起こらないですが、既にあるもの対する対処なので、こういったケースも考えられます。
判例でみる不利益処分の理由の提示
地方運輸局長が一般旅客自動車運送事業者に対してした道路運送法40条に基づく運送施設使用停止命令処分について、行政手続法12条に基づいて定められた処分基準に準拠して不利益処分を行う場合には、当該不利益処分に伴う理由提示の程度としては、いかなる事実関係に基づき、いかなる処分基準を適用して当該処分を行ったかを、処分の名あて人において理由書の記載自体から了知し得る程度に記載することを要するとした。
また、理由の提示でどの程度の情報を提示すべきかは、条文で定義するものはもちろん、処分の原因となる事実関係の内容などを総合的に考慮して決定すべきという判断もされています。
理由の提示は必要性も高く、具体性も求められていますが、提示すべき内容の程度までは示されておりません。
※総合的に考慮して決定すべきものとされています。
まとめ
行政手続法における不利益処分の理由の提示は、行政庁が不利益処分を行う際に重要な要素となります。
その名あて人に対して理由を示すことで、その名あて人が行政庁の判断を理解し、必要に応じて異議を申し立てることができるようになります。
また、理由の提示は、行政庁が公正で透明な行政を行うための重要な手段でもあります。
理由の提示は原則として必要ですが、8条の理由の提示とは違い、例外も存在することは押さえておきましょう。