行政手続法は公聴会の開催等を第10条で、努力義務として規定しています。
なお、申請者以外の者の利害を考慮すべき場合という条件付きであることは押さえておきましょう。
また、この規定は、行政処分が申請者以外にも影響を与える可能性がある場合とされていることから、広く意見を聴取することで公正性を確保し、法の下での公平な意思決定を促進するためのものとも言えます。
※意見公募手続とは異なります。
- 申請者以外にも影響を及ぼす場合の努力義務。
- 有識者および広範な意見を収集し、社会全体の声を反映させる努力をする。
行政手続法の公聴会の開催等を定める第10条は、第2章の「申請に対する処分」に該当し、それぞれの条文で定義している「義務」がポイントとなります。
申請の意味、行政手続法の「申請に対する処分」における10条の位置づけ(努力義務)については下記のまとめ記事よりご覧ください。
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行政手続法 公聴会の開催等(第10条)「申請者以外」がポイント!!
行政手続法における公聴会は、行政処分の公正性と透明性を確保し、社会全体の利益を考慮するために重要な行為となります。
では、条文を見ていきましょう。
行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。
広範な意見を収集することで、適切な意思決定を行うことを求めています。
また、この開催に関しては毎回開催を義務付ける法的義務ではなく、努力義務にとどめられています。
さらに、申請者以外の者に利害関係が及ぶ場合という限定付きでもありますので、ポイントとして押さえておきましょう。
あくまでも努力義務なので、開催するように促す規定と言えますが、必須ではありませんので覚えておきましょう。
また、公聴会の開催等、という記述からも分かるように必ず公聴会とすべき規定はありませんが、その他適法な方法という形で意見を聴く機会を設けるように定められています。
申請者以外に利害関係が及ぶ場合は、関係者、有識者等から意見を聴くように努めましょう。という解釈でOKです。
※その意見を関係者から聴く行為を公聴会と言います。
公聴会は関係性がポイント
また、公聴会は広く意見を求めるものではありますが、利害関係者や有識者といった、限定付きであることも押さえておきましょう。
同じ意見を聴く行為として、行政手続法 第6章の意見公募手続がありますが、こちらは広く一般の意見を求めるという規定がありますが、これは「何人も」という定義をしているため、誰でも意見を提出することができます。
公聴会については、利害関係や有識者となりますので、棲み分けはしておくと意見公募手続の理解も深まります。
意見公募手続よりは限定的
行政処分が申請者以外の者にも影響を与えるという条件がつく場合というのは、影響範囲が大きいということになるため、慎重な対応が求められる場面があることが伺えます。
まとめ
行政手続法第10条は、公聴会の開催を通じて行政処分の公正性と透明性を確保し、法の下での公平な意思決定を促進することを目的としています。
利害関係者や有識者の意見を十分に考慮し、公正かつ適切な行政処分を行うことが重要です。
その背景には、行政手続法の目的である公正の確保と透明性という部分が深く関わってきます。
利害関係が申請者以外にも及ぶということは、国民にとってリスクが大きくなる可能性もあるため、広い視野でその処分の適正さを見極める必要があります。
そんな10条の公聴会の開催等を努力義務に規定しているのも、このような慎重な審査には時間や労力を要するためです。
どうして公聴会を開催しないといけないのか。という行政機関目線で考えても理解が深まると思います。