行政不服審査法

「主婦連ジュース事件」 原告適格の壁を徹底解説!【行政書士試験対策】

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

主婦連ジュース事件に見る原告適格(不服申立適格)は、行政書士試験で頻出ポイントの一つです。
そんな「主婦連ジュース事件」について、全体の概要と原告適格に焦点を当てて解説します。

この判例は、「原告適格」という、行政に対する不服申立てをするための「資格」に関する重要な判断を示しています。
この記事では、主婦連ジュース事件の背景や判決内容、そして行政書士試験における重要性について、わかりやすく解説していきます。

成り上がリーガルポイント
  • 原告適格の判断基準:法律上の利益の有無が、不服申立ての可否を左右する重要な要素であることを示している。
  • 反射的利益の限界:反射的利益のみでは、不服申立ての根拠として不十分であることを明確にしている。
  • 消費者団体の原告適格:消費者団体は代表して訴訟を提起できるが、法律上の利益を侵害された場合に限られる。

行政書士試験の準備にお悩みの方へ。複雑な試験範囲や不安を解消し、自信を持って合格を目指すなら、資格スクエアの行政書士講座がおすすめです。
柔軟な学習スケジュールや24時間対応のサポート体制が整っており、スマホやPCから気軽に学習できます。
経験豊かな講師陣が、理解しやすいカリキュラムで重要な知識を丁寧に解説します。
詳細はこちらからどうぞ。

資格スクエアの行政書士講座: あなたのキャリアアップをオンラインで実現する行政書士は、企業や個人が直面する複雑な行政手続きを専門とする法律の専門家です。 許認可申請、不動産登記、遺言書の作成など、広範な業務を...

主婦連ジュース事件に見る原告適格

主婦連ジュース事件の概要を見ていきましょう。
1970年代、ジュースの表記について、消費者団体である主婦連合会(主婦連)は、「消費者が誤解する可能性がある」と問題視し、公正取引委員会(公取委)に対して、是正を求める行動を起こしました。
主婦連の申し立てを受け、業界団体が自主的に作成した「果実飲料等の表示に関する公正競争規約」を認定したが、主婦連は、公取委の決定に不服があるとして、不服申立てを行いました。

これに対する裁判所が下した判決、原告適格がポイントになっていきます。

原告適格(不服申立適格)についての詳細は下記をご覧ください。

行政不服審査法の原告適格(不服申立適格)【法律上の利益】に注目!!行政不服審査法の原告適格を重要判例も見ながら解説していきます。 「行政の決定に納得いかないけど、私にも何かできるの?」 「そもそも、...

主婦連の不服申立ては認められる?

原告適格(不服申立適格)とは、不服申立てをするための「資格」、簡単に言うと、「行政に対して訴訟を起こすことができる資格」のことです。

裁判所は、主婦連には不服申立てをする「資格」がないとして、これを却下しました。

不服申立適格が認められなかったことになります。

法律上の利益:原告適格の重要なポイント

原告適格を有するためには、「法律上の利益」が必要としました。
法律上の利益とは、法律によって保護された権利や利益のことを表します。

たとえば・・・
  • あなたが所有する土地が、収用されることになった場合
  • あなたが経営するお店が、営業許可を取り消された場合
  • あなたが申請した補助金が、不当に却下された場合

このように法律によって保護されたあなたの権利や利益が侵害された場合に、あなたは原告適格を有することになります。

判旨:反射的利益だけでは原告適格を認められない

最高裁判所は、判決の中で、以下のように述べています。

判旨

不当景品類及び不当表示防止法(景表法)の規定にいう一般消費者であるというだけでは、公正取引委員会による公正競争規約の認定に対し同法10条6項の規定に基づく不服申立をする法律上の利益を有するとはいえない。

景表法の規定の適正な運用によって得られるはずだった「反射的利益」を侵害されたに過ぎず、法律上の利益を有するとは言えないとしました。
反射的利益とは、公益を保護する法令の規定によって間接的に得られる利益のことで、例えば、景表法は、消費者を不当な表示から守ることを目的としています。

しかし、この法律によって直接的に利益を得るのは消費者全体であり、個々の消費者が直接的な利益を得るわけではありません。
したがって、個々の消費者は、景表法の規定によって、間接的に利益を得る「反射的利益」を有するに過ぎないため、原告適格を有しないという形で却下されました。

保護された利益を侵害され又は必然的に侵害される恐れのある者に不服申立適格が認められるべきとしました。
そのため、主婦連自体の利益に直結するものではないため、景表法の規定の一般消費者というだけでは法律上の利益をもつ者ということはできないという判断をしました。

原告適格の判断基準をしっかり理解しよう

主婦連ジュース事件は、行政不服審査法における原告適格の判断基準を明確にした判例です。
この判例から、以下の2つのポイントを学ぶことができます。

2つのポイント
  1. 法律上の利益の必要性:不服申立てをするためには、法律によって保護された具体的な権利や利益が侵害されている必要がある。
  2. 反射的利益の限界:公益を保護する法令の規定によって生じる間接的な利益(反射的利益)だけでは、原告適格は認められない。

具体的な事例に当てはめて考えてみよう

主婦連ジュース事件の判例以外にも、原告適格の有無を問う問題が出題される可能性もあります。

たとえば・・・
  • ある住民が、近隣の工場の騒音に対して、環境基本法に基づいて不服申立てをすることができるか?
  • ある企業が、競合他社の不当な営業行為に対して、独占禁止法に基づいて不服申立てをすることができるか?

これらの原告適格に関するものは、3つポイントに注目しましょう。

2つのポイント
  1. どのような法律に基づいて不服申立てをするのか
  2. その法律によって保護される権利や利益は何か
  3. 申立人は、その権利や利益を直接的に侵害されているか

といった点を、主婦連ジュース事件の判例を理解しておくと、見えてきます。

まとめ

主婦連ジュース事件は、行政不服審査法における原告適格の概念を明確にした重要な判例です。
この事件は、消費者の利益を守るために活動する主婦連合会(主婦連)が、公正取引委員会(公取委)の決定に対して不服申立てを行ったものの、原告適格を欠くとして却下されたというものです。

判例の趣旨をしっかりと理解し、具体的な事例に当てはめて考える練習をしておくことが、使える知識へとする近道となります。