行政手続法

行政手続法 行政指導指針とは?行政指導の条文が定める意味を解説

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行政手続法は行政指導の指針、手続に関する規定を第32条~36条で定めています。
行政指導は、行政機関が行う指導のことを言い、処分に該当しないものとされています。

大きく分けると、行政指導に携わる者に向けた規定(原則(32条)と方式(35条))と具体的な適用に関する規定の2種類に分類できます。

成り上がリーガルポイント
  • 任務または所掌事務の範囲を逸脱しないこと。
  • 国民の協力(任意の協力)によって成立するもの。
  • 申請者の意思が尊重される。
  • 強制すること、従わせることができない。

行政目的を実現するための行為なので、国民を指導する意味合いになります。
指導というと拘束力が強いイメージを持つかもしれませんが、任意の協力によって成立するものとしているなど、行政庁に強い権利を与えているわけではありません。

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行政手続法の行政指導指針を定める法律

行政手続法の行政指導とは、行政機関が行う指導の一つで、その内容や方法には一定の原則が存在します。
これらの原則は、行政指導が公正かつ適切に行われることを保証するためのものです。

行政指導〔第2条6号〕

行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。

しかし、行政指導の一環ということで、表向きでは分からないようにして国民に不利益を与えるような行為もされてきました。
行政手続法は、行政運営における公正の確保と透明性の向上をもって国民の権利利益を保護することが目的とされているため、明らかに違反します。

このような不利益にならないように行政指導の効力のレベルは低めに設定され、従わない場合の不利益の扱いも禁止としています。

行政指導の一般原則(32条)

行政指導の一般原則として、相手方(国民)の任意の協力によって、実現するものであって、従わない場合の不利益も禁止とされています。
条文を見てみましょう。

行政指導の一般原則〔第32条〕

行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
2 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。

行政指導に携わる者がその任務や所掌事務の範囲内で、相手方の任意の協力によってのみ実現されることを求めています。
※決められた範囲を越えての行政指導はできません。

また、あくまでお願いをする方の立場であることを条文から読み取ることができます。
2項については、当然のように思えますが、行政指導が強制力を持つものではなく、相手方の自主的な協力によって成立するものであるということを示しています。

行政機関に与えられた効力は低いため、税金の徴収に関するお約束はできても、行政指導を行った人が徴収することは許されません。
このワンシーンだけ切り取ると借した人ではなく、借金取りが別になるイメージです。

不利益の扱いは言うまでもないと思います。

申請に関連する行政指導(33条)

申請に関する行政指導を行う場合の規定について定めています。
まず、申請に関連する行政指導とは、申請の取下げや内容の変更を求める行政指導のことを指します。

申請者が行政指導に従う意思がないことを表明したにも関わらず継続することで権利を奪うようなことをしてはならないとされています。

申請に関連する行政指導〔第33条〕

許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を有する行政機関が、当該権限を行使することができない場合又は行使する意思がない場合においてする行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはならない。

その行政指導を継続すること等により申請者の権利の行使を妨げてはならないとされています。
例えば、申請を出すにあたりお願いされたことを明らかに拒否された場合にも申請書は受け取らなければならないとさています。
これを認めてしまうと、申請書を出した先にある権利が侵害されることになります。
正しい手続をしていく中で受理できないと判断されるのであればOKですが、行政指導に関わった人はこうした処分をすることができません。

許認可等の権限に関連する行政指導(34条)

行政庁の権限を行使できないまたは、行使するつもりがないのにも関わらず、行政指導をする人が権限を装って従わせるといった、騙すような行為は禁止されています。
このような規定があるということはこういった行為がされてきていたことが伺えます。

行政指導に従わうことを余儀なくされるというのは明らかに不利益で行政手続法の目的から逸脱することになります。
行政指導に携わる者は指導を行うのみで、徴収といった手続はできませんでしたよね?

行政指導の方式(35条)

行政指導の方式ということで、どういったやり方で行うのかという規定となります。
方式が決まっていることになるので、35条の方式に従って、行政指導が行われるべきだということがわかります。
この方式がブレると誤解を生むことになるため、条文も細かく設定されています。

行政指導の趣旨、内容、責任者を明確にすることを求めています。

趣旨、内容、責任者を示す必要がある

行政指導が口頭でされた場合も書面を求められたら、交付する義務が与えられています。
※特別の支障がある場合に許される例外は認められています。

また、その場で完結するもの、電子データ等で提示済み(通知)されているものと同一の内容であれば、書面で交付する義務の規定は適用されません。

複数の者を対象とする行政指導(36条)

同一の目的を達成しようとする場合に相手方が複数になることもあるため、その場合の規定もあります。
予め、行政指導指針を定めるのと、公表することを義務付けています。

方式と同じような形ですが、指針がブレると相手方によって指導がバラバラになって不公平になる可能性もあります。
※公表の部分はポイントにもなるので押さえておきましょう。

行政指導の中止,処分等の求め(36条1,2)

行政指導の中止や処分を求める権利なのですが、法律違反に対する行政指導で、その行政指導に適合しないと考える場合は、申し出をして行政指導の中止その他必要な措置を求めることができます。
明らかに間違っている場合に訂正(中止)できるイメージです。

但し書きにありますが、弁明や意見陳述のための手続を経たものは認めらていませんので、中止等を求めることはできません。
また、行政機関は、申し出があった場合は必要な調査を行い、必要だと認められた場合は必要な措置を取ることを義務付けています。

申し出→調査→措置

まとめ

行政指導は、行政機関が行う指導の一つで、その内容や方法には一定の原則が存在します。
これらの原則は、行政指導が公正かつ適切に行われることを保証するためのものです。
※行政指導という効力が強くなりすぎると、行政指導の一環として水面下で不利益な扱いを受ける可能性があります。

あくまでも国民の協力によってなされる行為であることを押さえておきましょう。
また、中止等の求めなど、国民の申し出に対する調査や措置が発生する可能性があることも知識として覚えておきましょう。