国家賠償法

国家賠償法の相互保証主義とは!? | 国家賠償法6条

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国家賠償法は相互保証主義に関する規定を6条で定めており、外国人が日本で国家賠償を請求するための条件として「相互保証」を挙げています。

日本でケガをした外国人が、日本政府に損害賠償を請求できない?
でも、日本人がその外国で同じように請求できなかったら、不公平じゃない?

国家賠償法は、基本的人権の保障という観点から、外国人にも適用されるべきと考えられています。
しかし、国際的な関係を考慮すると、一方的に日本だけが外国人に賠償責任を負うのは確かに不公平ですよね。

そこで登場するのが、国家賠償法6条に規定されている「相互保証主義」です。

成り上がリーガルポイント
  • 国家賠償法6条は、外国人が被害者の場合の国家賠償について、相互保証があるときに限り、国家賠償法を適用すると定めています。
  • 相互保証とは、日本人が相手国で国家賠償を受けられる場合に限り、相手国の国民も日本で国家賠償を受けられるというルールです。
  • 相互保証の有無は、条約や内国民待遇の原則に基づいて判断されます。

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国家賠償法の相互保証主義とは

国家賠償法6条は、外国人が被害者である場合の国家賠償について、相互保証があるときに限り、国家賠償法を適用すると定めています。

日本人がその被害者の国で同じように国家賠償を受けられるという保証がある場合に限って、国家賠償法が適用されるということです。
相互保証主義は、国際的なバランスを保ち、国家間の友好関係を維持するための仕組みともいえます。

  • 日本人がXXXXで国家賠償を受けられる場合、XXXX人も日本で国家賠償を受けられます。
  • 日本人がZZZZで国家賠償を受けられない場合、ZZZZ人も日本で国家賠償を受けられません。

外国人が日本で国家賠償を請求するには、日本人が相手国で同様の権利を保障されている必要があります。
相互保証が認められない国の外国人は、日本で国家賠償を請求できない可能性があります。

なぜ相互保証が必要なのか

国家賠償法は、基本的人権の保障という観点から、外国人にも適用されるべきと考えられています。
しかし、国際的な関係を考慮すると、一方的に日本だけが外国人に賠償責任を負うのは公平ではありません。

相互保証主義は、国家賠償法の適用範囲を外国人にまで広げる一方で、国家間の平等を確保するための仕組みです。

もし相互保証主義がなければ、日本は自国民だけでなく、全ての外国人の損害賠償請求にも対応しなければなりません。
これは、日本にとって過大な負担となり、国際的な摩擦を引き起こす可能性もあります。

相互保証の内容とは?

相互保証主義は、以下の2つの要素から成り立っています。

成り上がリーガルポイント
  • 実質的相互保証:日本人が相手国で、実質的に国家賠償を受けられること
  • 手続的相互保証:日本人が相手国で、国家賠償請求の手続きを保障されていること

つまり、日本人が相手国で同じような権利を保障されている場合にのみ、相手国の国民も日本で国家賠償を請求できます。

相互保証の有無は、2つの方法で判断されます。
日本と相手国との間に、国家賠償に関する条約が締結されている場合は、その条約で相互保証の有無が確認されます。
国家賠償に関する条約がない場合は、相手国において、日本人がその国の国民と同等の国家賠償を受けられるかどうか(内国民待遇)が確認されます。

これらを満たすことで外国人にも国家賠償請求が認められるようになります。

相互保証主義に関する判例

相互保証主義という観点では、外国人に保障されている人権としてお馴染みのマクリーン事件も重要な判例の一つです。
日本人が相手国で実質的に国家賠償を受けられるかどうかが重要であり、相手国の法制度に国家賠償に関する明文の規定がない場合でも、実質的に同様の救済が保障されていれば相互保証があると認められ、アメリカの法制度において、外国人も含めて不法行為による損害賠償請求が広く認められていることから、日米間には相互保証があると判断されました。

相互保証の有無は、相手国の法制度に明文の規定があるかだけでなく、実質的に日本人が相手国で国家賠償を受けられるかどうかでも判断されます。

まとめ

この記事では、国家賠償法6条、相互保証主義について解説しました。

日本自体は国家賠償請求に関する法律である国家賠償法があることから、保証自体はあります。
ただし、外国人の場合は、そこに自国の保証の有無が関係してきます。

人権という観点で、相互保証の有無が関係ないように思えるかもしれませんが、賠償請求では相互保証がある場合のみ認められますので、そこの差異はキチンと把握しておきましょう。