国家賠償法

国家賠償法2条の無過失責任「認められるケース」と「認められないケース」とは!?

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国家賠償法2条は、無過失責任がポイントとなります。
国家賠償法2条とは、国や地方公共団体が管理する道路、橋、公園などの施設(公の営造物)に欠陥があり、そのせいでケガをしたり車が壊れたりした場合に、国や地方公共団体が賠償責任を負うという内容です。

ポイントは、国や地方公共団体に過失がなくても、賠償責任が発生する「無過失責任」である点です。
施設の管理者が点検を怠っていた、補修工事をしていなかった、といった事情は関係なく、施設の欠陥と損害の間に因果関係があれば、賠償責任を負うことになります。

例えば、道路の穴で転んでケガをした場合や、老朽化した橋が崩落して車が壊れた場合などが該当します。
ただし、地震や台風などの自然災害による損害は、施設の欠陥とは認められないため、国家賠償法2条は適用されません。

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国家賠償法2条と無過失責任とは?

国家賠償法2条は、国や地方公共団体が管理する道路や橋、公園などの施設(営造物)に欠陥があったために損害を被った場合に、国や地方公共団体が賠償責任を負うことを定めています。

例えば、壊れていた道路のせいで転んでケガをした、老朽化した橋が崩落して車が壊れた、公園の遊具が壊れていて、子どもがケガをした。などいったケースが挙げられます。
無過失ですから、そこに人による管理監督者の責任といったものが度外視される場合もあります。

国家賠償法2条は、以下の3つの要件がすべて満たす場合のみ、国家賠償請求をすることができます。
しっかりと理解しておくと良いでしょう。

要件
  • 公の営造物:国や地方公共団体が所有・管理している道路、河川、橋、公園、上下水道、庁舎などが該当します。
  • 設置または管理の瑕疵:施設の設計、施工、維持管理などに問題があり、安全性が確保されていない状態です。
  • 損害:あなたが実際に何らかの損害を被っている必要があります。

2条の要件を一つずつ詳しく見ていきましょう

3つの要件について見ていきましょう。

1. 公の営造物であること

公の営造物とは、国や地方公共団体が所有または管理している、道路、河川、橋、公園、学校、庁舎など、公共の用に供されるものを指します。

例えば、国道、県道、市道などの道路、公共の公園や広場、公立学校や図書館などの公共施設などが該当します。

どこまでが公の営造物に該当するのか、その範囲については押さえておきたいポイントです。
特に、民間の施設と紛らわしいケースや、一時的に国や地方公共団体が管理している施設などが問題となることがあります。

2. 設置または管理に瑕疵があること

瑕疵とは、本来あるべき安全性が欠けている状態のことです。

例えば、道路に穴が開いている、ガードレールが壊れている、遊具が老朽化して破損している状態などが該当します。

瑕疵の判断基準は、社会通念上、その営造物が通常備えているべき安全性を欠いているかどうかで判断されます。
過去の判例を参考に、どのような場合に瑕疵が認められるのかを理解しておくことが重要です。
落石注意の標識がある場所での事故の場合、営造物が通常有すべき安全性が欠いていることを指し、賠償責任については、国または公共団体の過失を必要としない。としました。

また、予算的に対処できないことは推測されるとはいえ、責任を逃れることはできないとしています。

逆のケースでは、標柱が倒された後に通行した車両が事故に遭った場合は、道路管理に不備はなかったとされ、国家賠償請求が認められなかったケースもあります。
※似たようなケースでは、事故車を長時間放置したことの管理監督者に瑕疵があったことが認められたものもあります。

3. 他人に損害を生じたこと

これは、営造物の瑕疵が原因で、あなたに実際に何らかの損害が発生している必要があります。

例えば、道路の穴で転んでケガをした、公園の遊具が壊れていて、子どもがケガをした場合などが該当します。

特に、空港の騒音による精神的苦痛に対する機能的瑕疵によって国家賠償請求が認められる場合もあります。

機能的瑕疵とは、例えば空港のようにきちんと管理されている状態にもかかわらず、騒音による被害が発生しているんなど、正常な状態にもかかわらず影響が出てしまうケースをいいます。

2条責任のポイントは「無過失責任」

2条責任の最大の特徴は、国や地方公共団体に過失がなくても、賠償責任を負うという点です。

これは、公の営造物は、常に安全な状態に保たれるべきであり、万が一事故が起こった場合は、国や地方公共団体が責任を負うべきという考え方によるものです。

例えば…市が管理する道路の点検を怠っていたため、穴が開いていることに気づかず、あなたが転んでケガをした場合、県が管理する橋の老朽化が進んでいたにもかかわらず、補修工事を怠っていたため、橋が崩落し、あなたの車が壊れた場合など、国や地方公共団体に過失がなくても、2条責任が成立し、損害賠償を請求できる可能性があります。

河川の改修工事中の水害では、国家賠償請求は認められませんでした。
逆に完成区間として認定された一部で決壊が生じた水害では、国家賠償請求が認められました。

既に出来ている。完成している場合に賠償請求が認められたケースがある。

2条責任と1条責任の違いは何?

1条の人による過失との違いも押さえておきたいポイントとなります。

責任の種類 対象となる行為 責任の性質 過失の有無
1条責任 公務員の職務上の不法行為 過失責任 過失が必要
2条責任 公の営造物の設置または管理の瑕疵 無過失責任 過失は不要
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無過失責任の例外:不可抗力

ただし、無過失責任にも例外があります。
それは、不可抗力の場合です。

不可抗力とは、地震や台風などの自然災害のように、人間の力では予見したり、防いだりすることができない事由を指します。

もし、公の営造物の瑕疵が不可抗力によって生じたものであれば、国や地方公共団体は賠償責任を負いません。

例えば…市が管理する道路が、地震によって陥没し、あなたが転んでケガをした場合、県が管理する橋が、台風によって流され、あなたの車が壊れた場合など、不可抗力による損害と判断されるため、2条責任は成立しません。

まとめ

この記事では、国家賠償法2条、無過失責任について、できる限りわかりやすく解説しました。

国家賠償法2条は、公の営造物の瑕疵によって損害を被った市民を守るための重要な法律です。
2条責任は、国や地方公共団体に過失がなくても成立する「無過失責任」はポイントとなります。

また、2条責任が成立するには、「公の営造物」「設置または管理の瑕疵」「損害」の3つの要件を全て満たす必要があります。

この記事が、あなたの疑問を解消し、国家賠償法2条への理解を深める一助となれば幸いです。