行政不服審査法

行政不服審査法の原告適格(不服申立適格)【法律上の利益】に注目!!

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行政不服審査法の原告適格を重要判例も見ながら解説していきます。
「行政の決定に納得いかないけど、私にも何かできるの?」
「そもそも、どんな人が不服申立てできるんだろう?」
行政不服審査法は、行政の決定に不服があるときに、それを覆すチャンスを与えてくれる法律です。
しかし、誰でも自由に不服申立てができるわけではありません。

「原告適格」という、いわば「試合への出場資格」のようなものが必要になります。

今回は、この「原告適格」について、行政書士試験の視点も踏まえながら、徹底的に解説していきます。
身近な例や重要な判例を交えながら、分かりやすく説明していきます。

行政書士試験では、訴えに対する当事者サイドの法律上の利益に関する部分がポイントとなりますので、なぜ認められるのか。なぜ認められないのか。という部分を掘り下げていけるようにまずは、原告適格(不服申立適格)とは何か?という理解を深めていきましょう。

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行政不服審査法の原告適格は「関所」

原告適格(不服申立適格)とは、簡単に言うと、「行政に対して不服申立てをすることができる資格」のことです。
例えば、あなたが住んでいる街に、新しい道路が建設されることになりました。
しかし、あなたは、その道路建設によって騒音や排気ガスが増え、生活環境が悪化することを心配しています。

この場合、あなたは、道路建設の決定に対して不服申立てをすることができます。
もし、その道路から遠く離れた場所に住んでいて、道路建設によって何の影響も受けない場合は、不服申立てをすることはできません。

ここに関連する人達しか通れないかつ、通るための手形がないと関所を通ることができないイメージとなります。

誰でも行政に文句を言えるわけではない

原告適格は、行政不服審査法の重要なポイントの一つです。
原告適格がない人が不服申立てをしても、その申立ては却下されてしまうからです。

つまり、原告適格は、あなたの不服申立てが「門前払い」にならないための、必須の条件となります。

行政不服審査法の目的として、行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為をされていることが前提条件となりますので、文句を言う権利がないのは当たり前です。

と、一見簡単な印象を受けますが、どうして認められないのか。といった理由にもに注目していく必要があります。

原告適格(不服申立適格)の条件は?

行政不服審査法では、原告適格(不服申立適格)の条件として、「法律上の利益」を有することを求めています。

「法律上の利益」とは、法律によって保護された権利や利益のことです。

たとえば・・・
  • あなたが所有する土地が、収用されることになった場合
  • あなたが経営するお店が、営業許可を取り消された場合
  • あなたが申請した補助金が、不当に却下された場合
  • など、法律によって保護されたあなたの権利や利益が侵害された場合に、原告適格を有することになります。

    「反射的利益」だけではダメ!

    しかし、単に「損害を受けた」とか「不利益を被った」というだけでは、原告適格は認められません。

    例えば、あなたが住んでいる街に、新しいゴミ処理場が建設されることになりました。
    ゴミ処理場の悪臭が心配ですが、実はゴミ処理場から遠く離れており、直接的な被害を受ける可能性は低いとします。

    この場合、あなたは、ゴミ処理場の建設によって「反射的利益」を侵害されたことになりますが、これは法律上の利益には該当しません。

    なぜなら、反射的利益は、間接的な利益であり、法律によって直接的に保護されているわけではないからです。

    法律上の利益がポイントとなります。

    例:近隣住民の騒音被害

    住んでいるマンションの隣に、騒音のひどい工場が建設されることになりました。
    この場合、工場の騒音によって「平穏な生活を送る権利」を侵害される可能性があります。

    「平穏な生活を送る権利」は、憲法や民法などによって保護されている権利であるため、あなたは原告適格を有することになります。

    といった具合に、静かに暮らすという法律上の利益を侵害されることが当然と認められる必要があります。
    ※厳密には、それが法律上の利益であるかは、判例によって様々です。

    行政書士試験での重要判例:主婦連ジュース事件とは?

    原告適格(不服申立適格)に関する問題が出題されることがあります。
    その中でも、特に重要な判例が、「主婦連ジュース事件」(最判昭和53年3月14日)です。
    ※不服申立適格を備える必要があると明示的に示された判例です。

    この事件では、消費者団体が、ある清涼飲料水メーカーの不当表示に対して、公正取引委員会に排除命令を出すよう申し立てましたが、公正取引委員会はこれを却下しました。

    消費者団体は、この決定に対して取消訴訟を提起しましたが、最高裁判所は、消費者団体には不服申立適格(原告適格)がないと判断しました。

    その理由は、消費者団体は、不当表示によって直接的な権利・利益を侵害されたわけではないため、「法律上の利益」を有しないというものでした。

    「主婦連ジュース事件」 原告適格の壁を徹底解説!【行政書士試験対策】主婦連ジュース事件に見る原告適格(不服申立適格)は、行政書士試験で頻出ポイントの一つです。 そんな「主婦連ジュース事件」について、全体...

    まとめ

    行政不服審査法における原告適格は、不服申立てをすることができるかどうかを左右する、非常に重要な概念です。
    原告適格を有するためには、「法律上の利益」を侵害される処分、公権力の行使が行われる必要があります。

    行政の決定に不服がある場合は、まず原告適格を有しているかどうかを確認する必要があります。

    そして、原告適格があれば、不服申立てを行い、権利を守るために争う機会が与えられます。
    これを満たすことが原告適格(不服申立適格)を備えているということになります。

    行政書士試験では、訴えに対する当事者サイドの法律上の利益に関する部分がポイントとなりますので、なぜ認められるのか。なぜ認められないのか。という部分を掘り下げていきましょう。