行政不服審査法

行政不服審査法の申立ての種類(第5条・第6条)を徹底解説!

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行政不服審査法の不服申立ての種類を示す第5条「再調査の請求」と第6条「再審査請求」に焦点を当てて解説します。
「再調査の請求と審査請求って何が違うの?」
「再審査請求って、2回目の審査請求のこと?」
この記事を読めば、それぞれの違いや使い分けがスッキリ理解できるはずです。

成り上がリーガルポイント
  • 自由選択主義:再調査の請求と審査請求は、どちらを選択するかは原則、国民の自由です。
  • 再調査の請求: 処分庁自身に再検討を求める手続き。
  • 審査請求: 処分庁とは別の行政庁に公平な判断を求める手続き。
  • 再審査請求: 審査請求の結果に納得できない場合に、さらに上位の行政庁に審査を求める手続き。

具体的な事例や図解を交えながら、分かりやすく説明していきますので、ぜひ最後まで読んで、行政書士試験合格に向けて知識を深めてくださいね!

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行政不服審査法の申立ての種類(第5条・第6条)を徹底解説!

行政の決定に納得がいかない時、「再調査の請求」と「審査請求」という二つの不服申立ての手段があります。
どちらもあなたの主張を聞いてもらうための手続きですが、どちらを選ぶかは原則、自由であり、これを自由選択主義いいます。
審査請求に関しては、2条,3条で規定しています。

大まかな流れは下記のようになります。

ただし、原則として、再調査の請求に対する決定を経た後でなければ、審査請求をすることはできません。
これは、同じ処分に対して、二つの異なる不服申立て手続きを同時に行うことはできないからです。

自由選択主義、再調査の請求からの審査請求の手続きは再調査を経る必要があるなど、例外的な部分も押さえておきましょう。

第5条:再調査の請求 – 処分庁に「ちょっと待って!」 もう一度見直してほしい時に使う手段

再調査の請求とは、行政庁の処分に不服がある場合に、処分をした行政庁自身に対して、もう一度処分の内容を再検討してもらうよう求める手続きです。

例えば、あなたが飲食店を開業するために保健所に許可申請をしたのに、不許可処分を受けたとします。
「え、なんで? 衛生管理もバッチリなのに…」
そんな風に納得できない時、あなたには再調査の請求をする権利がありますが、法律に再調査の請求ができる定めがある時に限り、処分庁(行政庁)再調査の請求を行うことができます。(5条1項)

また、自由選択で再調査の請求を行った場合は、再調査の決定を経ないと再審査(6条)を請求することはできません。
ただし、例外的に3か月という期間の経過もしくは正当な理由がある場合は決定を経なくても再審査を請求することができます。(5条2項)

再調査の請求〔第5条〕

(再調査の請求)
第五条 行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合において、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、当該処分に不服がある者は、処分庁に対して再調査の請求をすることができる。ただし、当該処分について第二条の規定により審査請求をしたときは、この限りでない。
2 前項本文の規定により再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定を経た後でなければ、審査請求をすることができない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一 当該処分につき再調査の請求をした日(第六十一条において読み替えて準用する第二十三条の規定により不備を補正すべきことを命じられた場合にあっては、当該不備を補正した日)の翌日から起算して三月を経過しても、処分庁が当該再調査の請求につき決定をしない場合
二 その他再調査の請求についての決定を経ないことにつき正当な理由がある場合

処分をした行政庁に対して行うものになるので、比較的手続自体は簡単となりますし、行政庁も簡易的な手続で事実関係の再調査を行います。
なお、行政庁の不作為に関する再調査の請求はできないかつ、審査請求ののちの再調査はできません。(一方通行のイメージ)

第6条:再審査請求 – 審査請求の結果に納得できない! 上級行政庁に「審判」を仰ぐ

再審査請求とは、審査請求の裁決に不服がある場合に、さらに上位の行政庁に審査を求める手続きです。
※この上位の行政庁を審査庁といいます。

ただし、再審査請求ができる裁決は、法律で個別に定められている必要があるのなど、認められる場合のみすることができます。
また、対象は、原裁決または処分であり、法律にの定める行政庁の対して行う必要があります。(6条2項)
※裁決とは審査庁の判断をいいます。

再審査請求〔第6条〕

(再審査請求)
第六条 行政庁の処分につき法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合には、当該処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる。
2 再審査請求は、原裁決(再審査請求をすることができる処分についての審査請求の裁決をいう。以下同じ。)又は当該処分(以下「原裁決等」という。)を対象として、前項の法律に定める行政庁に対してするものとする。

【表でみる】再調査の請求と再審査請求、何が違うの?

再調査の請求と再審査請求は、どちらも不服申立ての手段ですが、その対象や請求先が異なります。

項目 再調査の請求 再審査請求
対象 行政庁の処分 審査請求の裁決
請求先 処分庁自身 原裁決をした行政庁の上級行政庁

再調査の請求は、処分庁に直接再考を促す手続きであり、再審査請求は、審査請求の結果に対して不服がある場合に、さらに上位の行政庁に判断を仰ぐ手続きです。

裁決を行うのは、審査庁(上位の行政庁)となります。

まとめ

再調査の請求と再審査請求は、それぞれの制度の特徴を理解しておきましょう。
行政不服審査法では、不服申立をする際に、「審査請求」と「再調査の請求」のどちらかを選ぶ「自由選択主義」が採用されていますが、前段として、2条,3条の審査請求があり、それも含めて自由選択主義であることを押さえておきましょう。

これらの不服申立ての要件、手続き、効果、そして審査請求と再調査の請求の使い分けについて問われることがあります。
過去問を解きながら、具体的な事例に当てはめて考える練習をすることで、理解を深め、試験対策に役立てることができます。