行政手続法 11条は、申請の処理において複数の行政機関が関与する処分をする場合の規定を定めています。
行政手続法 第11条では、複数の行政機関が関与する場合においても遅延が禁止され、速やかな対応が求めています。
また、努力義務として課された相互連絡を通じて、効率的な対応を心掛けることが重要となります。
- 複数の行政機関が関与しても、遅延は許されない。
- 行政機関同士が協力し、情報共有を行うことが求められる。
- 行政機関とて協力することは重要
行政手続法 11条 複数の行政庁が関与する処分は、第2章の「申請に対する処分」に該当し、それぞれの条文で定義している「義務」がポイントとなります。
申請の意味、行政手続法の「申請に対する処分」における11条の位置づけ(法的義務と努力義務の混合パターン)については下記のまとめ記事よりご覧ください。
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行政手続法 11条 複数の行政庁が関与する処分とは?
申請とは、法令に基づき行政機関に対し利益を求める行為ですが、この申請に対する処分には、複数の行政機関が関与することがあります。
そんな複数の行政庁が関与する場合の規定として11条で2項に渡って定義しています。
では、条文を見ていきましょう。
行政庁は、申請の処理をするに当たり、他の行政庁において同一の申請者からされた関連する申請が審査中であることをもって自らすべき許認可等をするかどうかについての審査又は判断を殊更に遅延させるようなことをしてはならない。
2 一の申請又は同一の申請者からされた相互に関連する複数の申請に対する処分について複数の行政庁が関与する場合においては、当該複数の行政庁は、必要に応じ、相互に連絡をとり、当該申請者からの説明の聴取を共同して行う等により審査の促進に努めるものとする。
何か気づくことはありませんか?
この11条は複数の行政庁が関与する場合となりますが、1項で定める申請処理に関しては7条の申請に対する審査、応答と同様に遅延を禁止しています。
2項の規定は、相互連絡(協力)することを努力義務として規定しています。
複数の行政庁が関与しても遅延は厳禁
行政手続法の公正の確保と透明性、国民の権利利益を保護することを資するという目的から逸脱することになるため、複数の行政庁が関与したとしても遅延は許されません。
この規定は、法的義務として規定されているため、押さえておきたいポイントとなります。
この規定を設けているおかげで、処理が遅延なく行われています。
管轄が異なる他県で交通違反をした時も一定のスピード感で通知が来ますが、同じようなイメージです。
※忘れられることはありません。
複数の行政庁が関与する場合は連絡を取り合う義務がある
複数の行政機関が関与する場合、相互に連絡を取り合い、申請者からの説明を共同して聴取するなど、審査の迅速化を図ることが求められています。
ただし、法的義務としてではなく、審査を促進するという努力義務の範囲に留めています。
このように一定数で要件を満たす可能性 ※がある場合は、努力義務となっていますので、条文の意味と合わせて分類も押さえておきましょう。
※相互連絡の場合は、遅れていないのに連絡を取るのは不要なやり取り
関連する行政庁が審査を行わないのはもちろんですが、審査を促すことを行わない行政庁も規定に違反することになるため、連帯責任と同じようなイメージです。
書類や電話などでのたらい回しは本当に苦痛ですよね。
特に担当者が変わって、何度も同じことを説明したなんて経験もあるかもしれません。
何事も協力して迅速な対応を求められるのは、どの世界でも同じですね。
まとめ
行政手続法第11条は、複数の行政機関が関与する場合の処分に関する重要な規定です。
この規定により、申請者に対する迅速かつ公正な処分が促進され、行政手続きの公正の確保と透明性が向上します。
複数の人や機関が関与すると対応が遅くなるのは当然ですが、11条では遅延を禁止としてます。
特にこの11条の規定は法的義務と努力義務が入り混じったパターンで一見難しい印象を受けますが、遅延と相互連絡の意味を考えたら、自然と答えが見えてくるように、条文ベースだけではなく、言葉の意味から考えることも重要となります。