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多摩川水害訴訟をわかりやすく解説!!【河川が備えるべき安全性とは】 | 判例マスターへの道

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多摩川水害訴訟をわかりやすく解説していきます。
この多摩川水害訴訟は、河川管理における国の責任が問われた裁判です。
1974年、台風16号による豪雨で多摩川が氾濫し、甚大な被害が発生しました。
住民たちは、国の河川管理に瑕疵があったとして、国に損害賠償を求めました。
最高裁判所は、河川管理者が是認しうる安全性を確保する義務を負うこと、許可工作物の存在も考慮に入れるべきことなどを判示しました。
なお、この判例は、国家賠償が認められたケースですが、同じような河川管理の瑕疵で国家賠償が認められなかった「大東水害訴訟」も合わせて押さえておきましょう。

成り上がリーガルポイント
  • 河川管理における瑕疵の判断基準は、是認しうる安全性を備えているか否かである。
  • 既に改修計画が定められ、これに基づき改修中の河川については、その後の事情の変化により特段の事由が生じない限り、未改修部分があることのみでは瑕疵を認めることはできない。
  • 河川区域内に許可工作物が存在する場合、河川管理者は当該工作物の存在を所与の条件として河川の安全性を確保する責務を負う。
  • 許可工作物の瑕疵により河川の安全性が損なわれている場合、河川管理者は監督処分権に基づく工作物の改善命令、河川施設の改修強化、または両者の併用により対応する必要がある。
  • 許可工作物の瑕疵に対する河川管理者の責任は、当該工作物が存する河川部分が全体として是認しうる安全性を備えているかどうかにより判断する。
  • 許可工作物の改修義務が生じるのは、技術的後進性を放置すれば堤内地に災害が発生することが具体的かつ明白に予測される場合、または当該許可工作物が存する河川部分が全体として是認しうる安全性を欠く場合である。

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事件の概要:未曾有の水害と住民の苦悩

昭和49年、台風16号が関東地方を襲い、記録的な豪雨をもたらしました。
多摩川流域でも各地で堤防が決壊し、広範囲にわたって浸水被害が発生。家屋や財産を失った住民たちは、塗炭の苦しみにあえぎました。

住民たちは、この水害は自然災害ではなく、国のずさんな河川管理が原因だと考えました。
彼らは、国に対して、国家賠償法に基づく損害賠償を求める訴訟を起こしたのです。

住民側の主張は、「国は、多摩川の改修工事や堤防の強化を怠っていた。
もし適切な対策がとられていれば、水害は防げたはずだ!」というものでした。
一方、国側は、「今回の水害は、想定を超える豪雨によるものであり、国の責任ではない」と反論しました。

争点:河川管理に瑕疵はあったのか?国の責任は?

この裁判の争点は、「河川管理に瑕疵があったとして、国に国家賠償法上の責任があるか」という点です。

国は、河川法に基づき、河川の管理を行う義務を負っています。
しかし、河川管理は、自然現象との闘いでもあり、常に完璧な安全性を確保することはできません。

では、具体的にどのような場合に、河川管理に瑕疵があったと判断されるのでしょうか?
そして、その場合、国はどのような責任を負うのでしょうか?

判決:河川管理に瑕疵あり!国は賠償責任を負う

最高裁判所は、国の河川管理に瑕疵があったと認め、国に損害賠償責任を負わせました。

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河川管理における瑕疵の判断基準

最高裁判所は、河川管理における瑕疵の有無について、以下の基準を示しました。

是認しうる安全性の確保

河川の管理に瑕疵があるかどうかは、過去の水害発生状況、自然的・社会的条件、改修の緊急性などを総合的に考慮し、是認しうる安全性を備えているかどうかを基準に判断する。

改修計画に基づく改修中の河川

既に改修計画が定められ、これに基づき現に改修中である河川については、その後の事情の変化により特段の事由が生じない限り、未改修部分があることのみでは瑕疵を認めることはできない。

都市河川への適用

都市河川の管理についても、上記の基準が適用される。

許可工作物と河川管理者の責任

本判決では、特に許可工作物(河川管理者の許可を得て河川区域内に設置された工作物)の存在が、河川管理における瑕疵の判断に大きく影響を与えました。

最高裁判所は、許可工作物が存在する河川部分の管理についても、河川管理者は責任を負うとしました。
具体的には、下記の責任を負うとしています。

管理者責任
  • 許可工作物の瑕疵により河川の安全性が損なわれている場合、河川管理者は監督処分権に基づく工作物の改善命令、河川施設の改修強化、または両者の併用により対応する必要がある。
  • 許可工作物の瑕疵に対する河川管理者の責任は、当該工作物が存する河川部分が全体として是認しうる安全性を備えているかどうかによって判断する。
  • 許可工作物の改修義務が生じるのは、技術的後進性を放置すれば堤内地に災害が発生することが具体的かつ明白に予測される場合、または当該許可工作物が存する河川部分が全体として是認しうる安全性を欠く場合である。

本件における判断:堰の欠陥と国の責任

多摩川水害訴訟では、堤防が決壊した場所には、「二ヶ領宿河原堰」という許可工作物が存在していました。
この堰には、構造上の欠陥があり、それが破堤の原因の一つとなった可能性が指摘されました。

最高裁判所は、この堰を含む河川部分が、是認しうる安全性を備えていたとはいえないと判断しました。
そして、堰の欠陥から破堤の危険を予測できたかどうか、また、予測できた場合は、適切な対策を講じなかったことが河川管理の瑕疵に該当するかどうかを、さらに審理する必要があるとして、高裁に差し戻しました。

まとめ

多摩川水害訴訟は、河川管理における国の責任が問われた判例です。
この判例は、河川管理における国の責任を明確化し、許可工作物の存在も考慮に入れるべきことを示しました。
また、都市河川の管理についても、同様の基準で判断されることを確認しました。

行政書士試験の学習においても、この判例は国家賠償法や河川法の理解を深める上で重要な教材となります。
特に、河川管理における行政の責任や、瑕疵の判断基準、許可工作物との関係などについては、しっかりと確認しておきましょう。

この判例をきっかけに、河川管理の重要性や行政の責任について、さらに深く考えてみるのも良いかもしれませんね。

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