品川マンション事件をわかりやすく言うと、建築確認処分の留保をめぐる訴訟です。
建築主が行政指導に応じて周辺住民と協議している間、建築主事は確認処分を留保していましたが、建築主が留保に反対する意思を示したにもかかわらず、留保を継続したことが問題となりました。
最高裁は、建築主の明確な反対意思表示があった後も留保を続けたことは違法であると判断しました。
確認処分自体は裁量の余地のない確認的行為であるとした点も合わせて押さえておきましょう。
- 建築確認の申請を受理した建築主事は、原則として速やかに確認処分を行う義務がある。
- ただし、建築主が確認処分の留保に任意に同意している場合、または、諸般の事情から確認処分を留保することが社会通念上合理的と認められる場合は、例外的に留保できる。
- 行政指導に応じて建築主が付近住民と協議している場合も、社会通念上合理的な期間内であれば、確認処分を留保できる。
- しかし、建築主が明確に留保を拒否する意思を示した場合、その意思に反して留保を続けることは許されない。

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事件の概要:住民反対と行政指導、そして宙ぶらりんの建築計画
活気あふれる昭和の東京、品川区。ある企業がマンション建設を計画し、意気揚々と建築確認申請を提出しました。
しかし、その計画は周辺住民の強い反対に遭います。「日照権が侵害される!」「景観が損なわれる!」住民たちの声は日に日に大きくなり、ついには紛争へと発展しました。
そこで、区の職員は、企業に対して「周辺住民と話し合って解決策を見つけてほしい」と行政指導を行いました。
企業もこの指導を受け入れ、住民との協議を開始しました。
その間、建築主事(建築確認を行う行政庁の長)は、事態の推移を見守るため、建築確認の処分を留保することにしました。
協議は難航し、一向に解決の糸口が見えません。
業を煮やした企業は、「もうこれ以上待てない!早く建築確認の判断をしてくれ!」と建築主事に詰め寄りました。
しかし、建築主事は、住民との協議がまとまるまで、依然として確認処分を留保し続けたのです。
業者は、この対応に憤慨し、「建築主事の確認処分の留保は違法だ!」と主張して、裁判を起こしました。
争点:建築確認の留保はいつまで許される?
この事件の争点は、「建築確認処分の留保が違法となるのはどのような場合か」という点です。

建築確認は、建築主事の裁量行為であり、一定の範囲内で自由に判断することができます。
しかし、その裁量権は無限ではありません。法律の趣旨に反したり、著しく不合理な判断は、違法とされます。
では、建築確認の留保は、どこまで許されるのでしょうか?企業と住民の協議が難航している間、建築主事はいつまで確認処分を留保できるのでしょうか?
判決:建築主の明確な反対意思表示後は留保できない!
最高裁判所は、建築主の明確な反対意思表示があった後も留保を続けたことは違法であると判断しました。
建築確認の原則:迅速な処理が求められる
建築確認は、建築主にとって、建築工事を始めるために必要な重要な手続きです。
したがって、建築主事は、原則として、速やかに確認処分を行う義務があります。
しかし、例外的に、建築主が任意に同意している場合や、社会通念上合理的と認められる場合には、確認処分を留保することができます。
行政指導と確認処分の留保:住民との協議は考慮されるべき事情
建築計画をめぐり紛争が生じ、建築主が任意に行政指導に応じて付近住民と協議している場合、社会通念上合理的な期間内であれば、確認処分を留保することができます。
これは、住民の意見を尊重し、紛争を平和的に解決する機会を与えるという観点から、合理的な判断と言えるでしょう。
建築主の意思表示:留保の強制は許されない
しかし、建築主が確認処分の留保を伴う行政指導に応じられない明確な意思を示した場合には、その意思に反して留保を強制することは許されません。
建築主は、自己の財産権に基づき、建築を行う自由を有しています。
行政指導はあくまで指導であり、法的拘束力はありません。
したがって、建築主が行政指導に協力しない意思を明確に示した場合には、建築主事は速やかに確認処分を行うべきなのです。
まとめ
品川マンション事件は、建築確認処分の留保をめぐる訴訟です。
建築主が行政指導に応じて周辺住民と協議している間、建築主事は確認処分を留保していましたが、建築主が留保に反対する意思を示したにもかかわらず、留保を継続したことが問題となりました。
最高裁は、建築主の明確な反対意思表示があった後も留保を続けたことは違法であると判断しました。
この判例は、行政指導と建築確認の適切なバランスについて、重要な示唆を与えています。
- 行政指導は、紛争を未然に防止したり、円滑な解決を図る上で有効な手段ですが、法的拘束力はありません。
- 建築主は、行政指導に協力する義務はありませんが、周辺住民との関係や社会の調和を考慮する姿勢が求められます。
- 建築主事は、建築主の意思を尊重し、社会通念上合理的な期間内で確認処分を行う必要があります。
この判例を通じて、建築確認制度の運用や行政指導のあり方について、理解を深めていただければ幸いです。
行政書士試験の学習においても、この判例は行政法の基礎知識を深める上で重要な教材となります。
特に、建築確認処分や行政指導に関する法的問題、建築主と周辺住民の権利の調整などについては、しっかりと理解しておく必要があるでしょう。
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