再入国不許可と要件裁量について解説していきます。
再入国許可申請を却下された外国人女性が、その処分の取り消しを求めた裁判です。
最高裁は、外国人の再入国許可は法務大臣の広範な裁量に委ねられており、その判断が著しく妥当性を欠く場合に限り違法となることを示しました。
- 外国人には、我が国に一時旅行する自由は保障されていない。
- 再入国許可の許否は、法務大臣の裁量に委ねられている(要件裁量)。
- 法務大臣は、国益と出入国管理の公正を図る観点から、申請者の在留状況、渡航目的などを総合的に考慮して判断する。
- 協定永住資格者については、本邦における生活の安定という観点も考慮する必要がある。
- 再入国不許可処分は、法務大臣の判断が全く事実の基礎を欠く、又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限り、裁量権の範囲を超え、又はその濫用があったものとして違法となる。

※落ちたのに、また受けたくなる耳心地。時間が溶ける——。
事件の概要:再入国を拒まれた女性の訴え
この事件の主人公は、韓国籍の女性です。
彼女は、日本人の男性と結婚し、日本で暮らしていました。
しかし、結婚生活はうまくいかず、離婚することになりました。
離婚後、彼女は韓国に一時帰国しましたが、再来日しようとしたところ、入国管理局から再入国を拒否されてしまいました。
その理由は、彼女が過去に指紋押捺を拒否したことがあるからでした。
彼女は、この処分は不当だとして、裁判を起こしました。
争点:再入国不許可処分は妥当だったのか?
この裁判の争点は、「外国人の再入国許可における法務大臣の裁量権の範囲と、その判断に対する司法審査の基準」です。


外国人が日本に再入国するためには、法務大臣の許可が必要です。
しかし、法律には、どのような場合に許可を与えるべきか、具体的な基準は定められていません。
これは、再入国許可の許否は、法務大臣の裁量に委ねられていることを意味します。
裁量とは、法律の枠内で、行政庁が自由に判断できる余地のことです。
再入国許可の場合、法務大臣は、国の利益や出入国管理の公正を図る観点から、申請者の在留状況や渡航目的などを総合的に考慮して、許可するか否かを判断することができます。
しかし、裁量権は無制限に認められているわけではありません。
裁判所は、法務大臣の判断が著しく妥当性を欠く場合には、違法であると判断することができます。
判決:指紋押捺拒否は再入国不許可の理由になる
最高裁判所は、法務大臣の再入国不許可処分は適法であると判断しました。
要件裁量:法の番人も口出しできない?
法務大臣の判断は、「要件裁量」と呼ばれるタイプの裁量です。
これは、法律が行政庁に判断の余地を与えているものの、一定の要件を満たした場合には、行政庁は特定の行為を行わなければならない、または行ってはならないという裁量です。
再入国許可の場合、法律には具体的な許可基準は定められていませんが、「国の利益」や「出入国管理の公正」といった考慮要素が示されています。
法務大臣は、これらの要素を考慮して、総合的に判断することになります。
裁判所は、このような要件裁量について、「法務大臣の判断が全く事実の基礎を欠く、又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限り、裁量権の範囲を超え、又はその濫用があったものとして違法となる」と述べています。
指紋押捺拒否と再入国不許可:妥当性の判断
本件では、主人公が過去に指紋押捺を拒否したことが、再入国不許可の理由となりました。
指紋押捺は、出入国管理の効率化やセキュリティ向上のために必要な措置です。
最高裁は、当時の社会情勢や出入国管理行政の必要性を考慮すると、指紋押捺拒否を理由とする再入国不許可処分は、著しく妥当性を欠くとは言えず、適法であると判断しました。
まとめ
再入国不許可と要件裁量事件は、外国人の再入国許可における法務大臣の裁量権の範囲と、その判断に対する司法審査の基準を明確にした事例です。
- 外国人には、我が国に一時旅行する自由は保障されていない。
- 再入国許可の許否は、法務大臣の裁量に委ねられている(要件裁量)。
- 法務大臣は、国益と出入国管理の公正を図る観点から、申請者の在留状況、渡航目的などを総合的に考慮して判断する。
- 協定永住資格者については、本邦における生活の安定という観点も考慮する必要がある。
- 再入国不許可処分は、法務大臣の判断が全く事実の基礎を欠く、又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限り、裁量権の範囲を超え、又はその濫用があったものとして違法となる。
この判例は、外国人の権利と国家の安全保障のバランスを図る難しさを示しています。
出入国管理は、国家主権に関わる重要な問題であり、法務大臣には広範な裁量権が認められています。
しかし、その裁量権の行使は、恣意的であってはならず、常に 客観的かつ合理的な根拠に基づいて行われなければなりません。
この判例を通じて、出入国管理における法的課題や行政の役割について、理解を深めていただければ幸いです。
行政書士試験の学習においても、この判例は入管法の理解を深める上で重要な教材となります。
特に、再入国許可に関する法務大臣の裁量権や司法審査の基準については、しっかりと押さえておく必要があるでしょう。
この判例をきっかけに、出入国管理のあり方や外国人の権利について、さらに深く考えてみるのも良いかもしれませんね。
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